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“すれちがえない”ダイニング、3.5畳の“トガりすぎた”部屋…いろいろ極端な「ナゾの間取り」の事情

“すれちがえない”ダイニング、3.5畳の“トガりすぎた”部屋…いろいろ極端な「ナゾの間取り」の事情

「ナゾの間取り」#3

note

新婚にぴったり? 4.5畳の「円満」な部屋@大田区

 

 先ほどの「三角ビル」は、ずいぶんとトゲトゲ尖っていたけれど、うってかわってこっちは円満な間取り図。居室からは一切の直線が排されている。真円形は究極の曲線美であり、それがいくつもつながった図面は、何かSF的なものも思わせる。

 実際にはこの建物は、連なる円柱によってできている。東京都内の住宅地においては特異なたたずまいであり、まるで科学研究所の実験棟のよう。「日本の家」らしからぬ趣きがある。

 デザイナーズマンションでありながら家賃は10万円と、相場感を大きく外れていない。東京23区ではファミリー向けの賃貸物件が供給不足ということもあり、人気のためか空室が出ることが稀だ。

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 部屋割は比較的常識的なもので、「2DK+S」というのは「新婚夫婦の暮らし」というニーズにも合致している。螺旋階段のあるエントランスホールや、ウォークインクローゼットまで用意されているのは豪華だが、どの居室も広くはないため、その点では工夫が必要だ。

 本物件のような「ま~るい」間取りで暮らすのには憧れもあるが、問題は、出来合いの家具はすべて直線で構成されているということである。タンスや本棚を置いてもデッドスペースが生じるし、テレビを壁掛けするのも難しそうだ。

出来合の家具はえてして「直線」で構成されている(写真はイメージ) ©iStock.com

 ただし収納に関しては、ウォークインクローゼットを含めふんだんに用意されている。ま~るいインテリアを集めて暮らせば、家族の暮らしはなお円満になるかもしれない。