洋室3.5畳の「トガった」ワンルーム@練馬

 

 先ほどの細長い建物で敷地とされたのは、元はただの私道だった。このように、わずかな余白にも家やペンシルビルを建ててしまうのが、都市のダイナミズムというものだ。

 ビルやマンションの間取りといえば、普通は長方形の組み合わせになる。しかし敷地が三角形だったら、三角柱のビルを建てるしかない。そんなわけで、全フロアが三角形によって構成される、ショートケーキのようなビルが東京都内に建っている。その間取り図がこちら。

 この珍ビルは「間取りファン」のみならず、上京を目指す貧乏ヤングの間でも有名な物件である。住宅情報サイトで「東京23区の激安賃貸物件」を探すと、いつも上位に表示されるからだ。

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 地下鉄駅から徒歩5分で、住環境は良好そのもの。約4万円というこの価格帯では珍しく「バス・トイレ別」物件になっているのだが、おかしいのが、玄関を出ないとシャワールームにたどり着けないという点だ。

写真はイメージ ©iStock.com

 しかもシャワールームには、脱衣所のような気の利いたスペースはない。そうなると全裸で出入りしたくなるが、間には共有の廊下スペースがあるのが問題だ。あらかじめ着替えを箱に入れてシャワーを浴びるなど、生活の工夫が必要になるだろう。

 この間取りは最上階(5階)の図だが、エレベーターなんていう気の利いたものは当然ないため、階段を上り下りする必要がある。この階段というのがまた狭くて、すれ違いに難儀しそうなのだ。総合して「暮らしやすい間取り」とは言えないが、しかしインパクトはやはり強い。