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“失敗”に終わった前回の「緑色」チャレンジと見えた“光明”

 同社が緑色にチャレンジするのは初めてではない。

 2019年4月には、「サントリー天然水」ブランドから緑の液色が印象的な「サントリー天然水 GREEN TEA」を発売していた。同製品は、本格的な緑茶飲料とは味覚が異なっていたため、定着しなかったが、緑の液色については、“おいしそう”“上質な感じがする”と予想以上に好評だったため、新「伊右衛門」のリニューアルでは、本格的な緑茶の味わいとこの鮮やかな緑の液色の両立、実現にチャレンジしたという。この取り組みが奏功し、男女問わずユーザーが一気に増加した。過去の失敗があったからこそ、新しいチャレンジが成功した好例だ。

 同社は、“緑”の液色を体感してもらう施策に徹底的にこだわり、525mlと600mlの製品では、ボトル中央部に丸茶マーク、招き猫、亀、だるまを配し、ラベルをはがすことを促した。

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 さらに、ラベルの裏側にもフクロウや七福神などをデザインし、「ラベルをはがすたびに様々な縁起物が出てきたら面白くてラベルをはがしたくなるという発想。必然的に美しい“緑”の水色(すいしょく)が目に入るようにした」(同社担当者)などの工夫をし、分別する際の楽しみと製品特徴の理解につなげている。

※サントリー提供 ラベルとはがすと模様が現れる仕掛けになっている

象徴的だった「竹筒ボトル」をやめる決断

 そして、「伊右衛門」の発売以来、イメージとして定着していた“竹筒ボトル”も取りやめる決断を行った。液色をしっかり見てもらえる設計にするためだ。同時に、新ボトルは、茶室をイメージしており、スマホのような持ちやすさも意識されている。

 今回の“竹筒ボトルをやめる”という提案にあたっては、同製品を大ヒットさせた生みの親である先人達の意見も聞いたという。

※サントリー提供 定着していた「竹筒ボトル」も伊右衛門

 ブランド開発事業部の多田誠司課長は、「2004年発売時の初代“伊右衛門”を担当したメンバーである沖中(沖中直人、現サントリーウエルネス社長)、水口(水口洋二、現サントリーコミュニケーションズ・デザイン部長)、牧(牧秀樹、現サントリー食品インターナショナル・商品開発部部長)らの後押しもあり、大きな変革だったがスムーズに社内で承認された。竹筒ボトルは、16年前は新しかったが今はそうではない。革新する時期に来ていると皆が思っていた。沖中からは、液色にこだわった方がいいとアドバイスされた」とする。