「伊右衛門」の次の課題は…
一方で、2020年に売り上げを大きく伸ばした「伊右衛門」だが、それでも“緑”の液色に変わったことを認識しているユーザーは、2020年秋の時点で約5割にとどまっているという。「伊右衛門」は2021年の活動でも新規ユーザーの拡大に向け、“緑”の認知のさらなる浸透に向けた活動に取り組む。
お~いお茶、綾鷹、生茶…各社の「逆襲戦略」
2020年の清涼飲料市場は、新型コロナで人々の活動量が減り、最盛期となる7月に梅雨が長引いたこともあって、販売数量は前年比約7%減(1-11月累計実績)とマイナスで推移した。その中で、販売数量が約3割増と大きく伸長した「伊右衛門」に刺激を受け、各社の緑茶飲料への取り組みは活発化している。
圧倒的王者「お~いお茶」のキーワードは“健康志向”
伊藤園の「お~いお茶」は、販売実績世界一としてギネス記録に2年連続で認定されたことを受け、インバウンド需要も取り込みながらさらなる成長を目指したが、新型コロナで残念ながら準備した活動ができなかった。
そこで、顧客の健康志向に応える情報発信や商品展開を強化し、徐々に勢いを取り戻している。新商品では、「お~いお茶 カフェインゼロ」を6月に発売したほか、機能性表示食品として日本初の“テアニン・茶カテキンの働きにより認知機能(注意力・判断力)の精度を高める”抹茶製品「お~いお茶 お抹茶」を12 月に発売した。中身の味わいを変えずに機能性表示食品に刷新し、発売から1年以上経過しても約150%伸長している「お~いお茶 濃い茶」をはじめ、本来お茶が持つ味わいと健康性訴求を強化し、新たなユーザー層の拡大を図っている。
ホットと馴染む「綾鷹」は“食事”にフォーカス
コカ・コーラシステムの「綾鷹」は、東京2020オリンピック・パラリンピックの延期で用意していた施策を実行できず、大きな影響を受けた。
ただ、8月以降は家庭内消費の拡大とホット飲用の機会拡大の2つに注力し、売上は回復傾向になっている。家庭内消費の拡大に向けては、緑茶の飲用機会のひとつである食事にフォーカスした活動を行い、“家の中で飲む緑茶と言えば綾鷹”というイメージの確立を図った。
また、「綾鷹」は、もともと急須でいれたような味わいが特徴のため、ホットとの親和性が高い。今後は、よりライトユーザーにアプローチする取り組みを行う予定だ。