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ゴールデンウィーク後、涙の12連勤

 朝から晩までコールセンターに閉じ込もって電話をしているうちに、花見をする余裕もなくハラハラと桜が散って、アッと言う間に5月になった。

 5月と言えばゴールデンウィークだ! やっとまとまった休みが取れる。

「ねぇ、N本さん~、ゴールデンウィーク、連休欲しい?」

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「え、ええハイ……できれば……」

 私がカレンダーを見ながらワクワクしていると、高田純次課長がなにやら良からぬオーラを発する紙をもって、近づいてきた。

©iStock.com

「ゴールデンウィークはカレンダー通りだと5連休だよねー。別に5連休取ってもいいんだけど、そのあと12連勤になるけど、いい?」

「はあっ!?」

 私の働くコールセンターは、お正月以外、土日祝日を含め一年中営業している。

 私の会社のカードは銀行の引き落としが月末と月初にされるので、コールセンターでは月末と月初に大量の支払い延滞の債権が発生する。

 月初のゴールデンウィークはとても忙しい。ゴールデンウィークが明けてしまうとお客さまもお金がなくなってしまうので、ゴールデンウィーク中にいかに回収するかがコールセンターの回収数字を左右していた。

 でもゴールデンウィークに人員が集中してしまうと、その人たちの代休消化でその後が手薄になってしまう。ゴールデンウィークにお休みを取る人は、代休社員の穴埋めのためその後12日間の連続出勤が決まっていたのだった。

「ゴールデンウィーク出社するか、ゴールデンウィークお休みしてその後の穴埋めにまわってもらうか、5月のシフトはどっちかなんだよねー」

(お、鬼…!)

 高田純次課長のささやきに、思わず涙ぐんだ。私はもうすでに、ゴールデンウィークは友達と旅行に行く計画を立てていたし、なにより早く連休が欲しかった。もう休まないと限界だ!

「12連勤で……お願いします」

「了解~」

 そう言って悪魔のシフトに私の名前を書きながら、課長はまたもや軽い足取りで去っていった。

督促OL 修行日記 (文春文庫)

榎本 まみ

文藝春秋

2015年3月10日 発売