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「凱旋ロス」から思い出す“社会不適合”な名機たち…ファンに愛されるパチンコ台が撤去されてしまう“謎”の理由とは?

2021/01/03

genre : ライフ, 社会, 娯楽

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 そんな事情で一発台は「存在するけど存在しない人気ジャンル」だったためか、メーカーが発売する際もカタログを出さなかったり、怪しい雰囲気を排除した明るい雰囲気であったこともしばしば。

回転体のスリルが楽しい一発台『ジャスティ』カタログ
左右に動く橋を玉が渡れば大当りの一発台『フェアリー』カタログ

 例えば他にもファンを夢中にさせた『ジャスティ(西陣)』や『フェアリー(京楽)』という機種のカタログや盤面も、写真の通り可愛い雰囲気満点(笑)。今見ても、「実はホールに設置されたらエグいんだよ〜、うへへ」といった秘密を隠していたように感じてしまいます。ああ…また打ちたい…(30年ぶりのロスに突入)。

悪夢の「社会的不適合撤去」騒動で消えた名機たち

 さて、一発台については割と直球というか、規制や撤去の背景が分かりやすいジャンルでありました。しかし1997年から行われた撤去に関しては、台数やスケールが超すごいことになっていたので、人気機種のファン達にとっては阿鼻叫喚。というのも、当時売り上げ30兆円と絶好調だったパチンコ業界に対し、「ギャンブル性の高まり」や「乳幼児の車内放置事故の増加」などネガティブなバッシングが吹き荒れるようになり、そうした声をかわす一環として業界団体が、

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「社会的不適合機約100機種を、4回に分けて撤去します!」

と、世間にブチ上げてしまったからです。

……社会的不適合機って、なんだ?

 そのヒントは、冒頭に挙げた「理由1:検定、認定切れ」に関係しています。先ほどパチンコ・パチスロは最長6年間設置できると説明しましたが、実はそれを越えても設置が行われている例が少なくありませんでした。そうした機種を「みなし機」と呼び、ある意味「法を越えた存在(笑)」としてファンに支持されて来た歴史があるのです。

 そんな曖昧な存在であるみなし機を「社会的不適合機」と位置づけ、一掃することでイメージアップを図ろうとしたのが、大きな背景でした。

ラウンド振り分けと連チャン性で人気を集めた羽根物『たぬ吉君2』も撤去の対象になった

 この時「第一次撤去機種」に指定された主な機種は、以下の通り。

『フルーツパンチ(Daiichi)』
『麻雀物語(平和)』
『フルーツパラダイス2(京楽)』
『アレジン(藤商事)』
『ブラボーキングダム(平和)』
『たぬ吉君2(京楽)』
『CR花満開(西陣)』
『ソルジャー(マルホン)』
『キューティーバニー(ニューギン)』