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福祉先進国とも見劣りしない日本の介護保険制度

 在宅ひとり死ができるようになったのは、介護保険のおかげです。介護保険がスタートしてから20年、現場の経験値は確実に蓄積されました。「在宅ひとり死」は現場の専門職の支えがあればできる、というわたしが得た手応えを、読者のあなたにもお伝えしたくてこの本を書きました。日本の介護保険は、制度も担い手も、ケアの質も、諸外国の福祉先進国にくらべても、決して見劣りしません。最近わたしは、海外在住の日本人に、老後を過ごすなら日本がよいかもよ、と勧めているくらいです。

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 この制度を決して後退させてはならない、とつよく思っています。ウエノさん、介護保険、これからどうなるの? 介護の労働崩壊がすすむのでしょう? とよく聞かれますが、そのたびにこう返します。「どうなるか、ではなく、あなたがどうしたいか、を考えて下さい」と。介護保険を作ったのもわたしたち有権者なら、介護保険をよくするのも悪くするのもわたしたち有権者だからです。

誰もが暮らしやすい社会をつくるために

 老いは誰にも避けられません。死亡率は100%です。認知症になるのは5人に1人だそうです。自分だけが要介護にならないようにPPK(ピンピンコロリ)体操に励み、認知症にならないように認知症予防ドリルに取り組むよりも、要介護になっても安心できる社会、安心して認知症になれる社会、そして障害を持っても殺されない社会をつくるために、まだまだやらなければならないことはいっぱいありそうです。

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 あなたもご一緒に闘ってくださればうれしいです。

在宅ひとり死のススメ (文春新書)

上野 千鶴子

文藝春秋

2021年1月20日 発売

こちらより上野千鶴子氏のメッセージ動画を視聴できます
​youtu.be/RgBLCyoMtsc