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大学受験勉強以上のことを学ぶ生徒たち

 奈良県の東大寺学園では、生徒たちが常に不規則発言を行いそれを片っ端から教員が拾うので50分間で教科書の1行分しか進まなかったが、結果的にそのやりとり自体が教科書の1行の意味を深く理解するためのアクティブ・ラーニングになっているという神業的な国語の授業を目撃した。

 兵庫県の灘の数学研究部の部長は「僕たちがやっている数学は、数学の世界を広げること。そもそも高校までの教科書の範囲は数学のごく狭い部分にすぎない。数学オリンピックだって数学という広大な世界のなかにある狭い村のようなもの」と語ってくれた。

 愛知県の東海の演劇部の部長は、「もともとは医学部進学のためにこの学校を選んだが、演劇部の活動を通していろいろな世界があることを知り、迷いが生じた」と告白する。それに対して教頭は、「思惑通り。どんどん迷ってほしい」とほくそ笑む。

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 東京都の筑波大附属駒場(筑駒)の文化祭実行委員長は、「基本的に筑駒の文実(文化祭実行委員会)は主役になってはいけない。あくまでも縁の下の力持ち。高圧的なひとはダメだし、ルールで縛るのもダメ。どうすれば気持ちよくひとが動いてくれるかを考えられなければいけない」と、サーバントリーダーシップを説いていた。

 鹿児島県のラ・サールの英語ディベート部の前部長は、相手を打ち負かすことが目的ではなく、論理的な英語を身につけることに意味があるという。そして「僕は将来、国連や国際的なNGOに勤めて世界中のひとたちが同じ立場で議論ができるような教育を広める活動をしたい」と語ってくれた。

 京都府の洛南では大学入試直前期に生徒の一部が自主的に教員と交渉し、入試対策講座の時間割を組む。その様子を見た副校長は「彼らは自分の受験勉強よりもみんなのために働くことを優先している。そのために仮に第一志望の大学に合格できなくても、人間としてはすでに立派。どこの大学に行くかなんて関係なく、社会で十分通用するでしょう」と、教え子を讃える。