「写真甲子園」3連覇の理由とは
――なぜ、写真甲子園で3連覇ができたんですか?
部屋に戻って恵納教諭にそんな質問をぶつけると、返ってきた答えは実にシンプルだった。
「やっぱり撮っている量が違うんやと思いますね。よく写真家の森山大道の言葉を言うんですけど、『量が質を作る』というか。たくさん撮るとやっぱり…というのはあります」
直球の回答である。ただ、その結論にたどり着くにはいくつかの段階があったという。
恵納教諭が写真部の顧問になったのは、いまから11年前のことだ。それまでは少林寺拳法部の顧問をしていたという。
「ウチの少林寺拳法部、結構強いんですよ。日本一を目指してやっているようなクラブで。そこから写真部に異動になって」
もともと活動が活発だった部ではない。恵納教諭自身も写真はずぶの素人。すぐに熱心に…というわけにはいかなかったそうだが、少しずつ生徒と一緒に写真を撮りながら基礎的なことを学んでいったという。
「少林寺から写真部に代わって、正直『あ、これは楽ちんやな』と思ってやっていたんですよ、最初は。ちょっとずつ僕も一緒に写真撮ったりしてね」
顧問になって3年目で迎えた「転機」
ところが、3年目に転機が訪れる。
「急にひとり、撮れる子が入って来てですね。私もちょっとずつ写真の勉強していたんで、パッと見た時に『あ、この子と一緒に日本で一番、目指してみようかな』と思って。それで3年生になった時に写真甲子園に出るところまでは行ったんですよね」
その生徒も、もともと本格的に写真を撮ったことがあったわけではなかった。だが、「ただただ写真を撮るのが楽しそうだった」と恵納教諭は振り返る。
「やっぱり写真ってセンスというのもありますけど、それよりは撮って楽しいと思えるハートがあるかどうか。面白いと思えたら結局、量を撮るんで。なんでもそやと思います。野球が面白いと思えたらバット振るでしょう? スポーツとは違ってフィジカルみたいなものはないですけど、好きやったら…というのは重要かもしれないですね」