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中央に鎮座するご本尊の正体は?

 音響効果を計算して作られているらしく、声がよく響く。須弥壇(しゅみだん)の左右には台湾製の巨大な木魚と磬子(けいす)、中央には恰幅のいい金色のご本尊が鎮座している。思わず拝んでしまってから判明したが、ご本尊の名は根本上師蓮生活佛──。つまり教祖の盧勝彦氏であった。

ご本尊である金色の盧勝彦氏。日本の仏具と台湾の仏具が入り混じっている。右下に「お父さんありがとう」と書かれたとっくりが供えられているのがチャームポイントだ。

 先にも述べたように、八角堂の背後は広大な空き地となっており、やがて本堂が建設される予定である。空き地のさらに裏手、10メートルほど山道を登った上には、蛇神である白長大神(しろながおおかみ)が祀られた古い神社がある。

白長大神の社殿前に立つ静香さん。一応、雷蔵寺の敷地ではないのだが、参道などの精美がおこなわれている。

 社殿は住吉山雷蔵寺の敷地外なのだが、やはり訪れる人が少なく森に埋もれていたところを雷蔵寺が間伐をおこない、参道を整備した。台湾の新宗教が、山に埋もれたお地蔵さまや古い神社を信仰施設として復活させているのは、日本人としてありがたく思うべきだろうか。

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パワフルおばちゃん巨刹を作る

 住吉山雷蔵寺はいまや、私が内心で「阪南のタイガーバームガーデン」と呼んでしまったほどの威容を誇る巨大な珍寺なのだが、まだ建設途中である。住職の静香さんによると、今後も「生命が続く限り」寺の建設や仏像・神像の設置を進めていく予定という。

台湾の漢字とインドのガネーシャ(象頭神)と日本の招き猫の米俵。もう何が出てきても驚かんぞ。

 かつて静香さんは若き日、開教間もない真佛宗に台湾国内で入信した後、日本に留学する夫とともに来日。いったん、留学生として学んでから日本国内で就職したのだが、求道の念は断ち難く、真佛宗の信仰は保持したまま高野山に登り真言密教の阿闍梨(あじゃり)になったという。山内に大師堂があるのもこうした事情ゆえだ(現在でも雷蔵寺の法要には、日本人の阿闍梨の友達が来て法螺貝を吹いてくれるらしい)。

 やがて静香さんは2000年ごろに私財を投じて箱作のこの山の土地を買い、ゼロから開墾を開始。その後も私費と寄付によって山地を切り開き、特に2010年ごろから工事を本格化させた。

仁王様。ほかにもさまざまな神様や仏様の像がある。

 結果、いまや1200坪の山域の大部分を伽藍や信仰の対象物(仏像ほか)が占める、謎の巨大寺を築いてしまった。