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 さらに、「この恋あたためますか」(TBS系・2020年10月期)で、多くの女性を夢中にさせた中村倫也のお茶の間的認知度と人気を一気に高めたのも「半分、青い。」だ。

《マアくん(編集部註:「半分、青い。」で中村が演じた朝井正人)は、事務所の社長さんと3人でゴハン食べたんだけど『北川さん、大丈夫ですか? 元気ですか?』くらいな勢いで(初対面なのに)、ぜんぜん、こう、緊張も壁もなくて、そのまま、マアくんとさせていただきました》(Twitter 2018年7月11日)

《マアくん、倫也くんは、お芝居を見に行き、その後、会食しました。まるで悪びれないひょうひょうとソフトな感じに、マアくんを思いつきました。半分、あおい。までに6キロ落として来ていた彼は、めちゃプロ。そして、マアくんはカッコ良すぎるマアくんになりました》(Twitter2018年8月16日)

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中村倫也 ©AFLO

北川が”いい男”を量産できる理由とは

 この素直さ、ときめきの感性、情熱の持久力、良い意味でのミーハー具合が、北川の選球眼の源泉なのだろう。そしてもうひとつ、北川ドラマが“いい男”を量産している理由がある。

 それは「あて書き」の妙だ。

 中村と出会って《マアくんを思いつきました》と語っているように、北川はその卓越した選球眼で見出した役者に「あて書き」し、役者本人の魅力をキャラにのっけるかたちで物語を描くことでよく知られている。

 中村も自身のTwitterで、朝井正人について書かれた台本を読んだのか、「半分寝てるような顔、とか おたまじゃくしみたいな目、とか 地味な顔、とか最初に台本を開いた時、これはラブレターだなと感じました。」(2018年5月23日)とハッシュタグに「♯半分青い」を付けて投稿したこともあった。

 しかも北川のあて書きは、現場で役者の魅力と合わさってどんどん進化を遂げていく。

 マアくんは肩に子猫をのせて現れるという仰天の登場シーンで視聴者の度肝を抜いたが、これは中村のアイディアだったことが、「A-Studio」(10月23日放送分)で明かされた。あて書きだったからこそ、役者自身の提案や工夫・努力がハマりやすく、想定を大きく上回る魅力的なキャラが出来上がるのだ。