そんな北川の最新作が「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」。娘役の浜辺美波の同級生に正統派美形の岡田健史を、イケメン整体師役に東啓介を、菅野美穂の幼馴染に沢村一樹を配置するなど、イケメンが豊富に取り揃えられている。
しかし、抜群の選球眼とあて書きの妙、ヒロインという名の必要悪を駆使する、“いい男製造機”北川がおそらく新たに最も力を入れて送り込んで来るキャラは、ようぺだ。キーマンになったのは「スワロウテイル」や「花とアリス」などを撮った岩井俊二監督。Twitterで川上洋平の起用の理由を尋ねられた北川悦吏子はこう答えている。
「萌え袖」「上目遣い」何かとあざといようぺ
《あ、岩井俊二さんの紹介です^^。私、最近、音楽疎くて失礼ながら、アレキサンドロス知らなかったんで(今ではファンです)。岩井さんは、アレキサンドロスで「夢で会えても」撮ってます》(Twitter2020年12月23日)
《岩井さんは、綾野くんも(まだ、さほど売れてない時)、映画の時に紹介してくれました。凄い見る目あるなあ、と思って。ま、言うこと聞かない時もあるけど。おっ!と思うと乗っかります》(Twitter2020年12月23日)
北川が《おっ!》と思ったのは、ようぺのどういうところだったのだろうか。
気になって「ようぺ」を検索していると、ある関連ワードが上がってくる。「あざとい」というワードだ。音楽雑誌のインタビューや雑誌の連載、Instagramなどをいろいろ調べてみたが、そこから見えてくる顔は確かに、何かとあざとい(誉め言葉)。
モデル体型で鼻筋が通ったシュッとした塩顔が一見クールなのだが、萌え袖の明るいニットをゆるりと着たり、「ミュージックステーション」で出演者がもらえる箱ティッシュらしきものを頭にのせて上目遣いで写真を撮ったり、口元に両手を添えて何かを見ていたり、飼い猫の写真をたびたびアップしたり……。
余談だが、ようぺが飼っているのは2匹の保護猫で、1匹目は亡くなった実家の猫「ミルク」に似ていることから「ミルク」(牛乳)の妹で「ソイ」(豆乳)、2匹目は「ラテ」。猫の名前もあざと可愛く、それぞれに「川上ソイ」「川上ラテ」と苗字をつけてインスタにアップしているのだ。
北川ドラマのなかでは豊川悦司や中村倫也などといった塩顔系譜の役者だが、このあざと可愛さは今までになかった魅力だろう。
そんなようぺに北川が授けた役・橘漱石は、菅野美穂演じるシングルマザーの恋愛小説家・碧の担当編集者だ。公式によると「雰囲気イケメン。よって女流作家の担当をさせられることが多い。クールなルックスとは裏腹に、仕事に対しては熱く、作家としてスランプを感じている碧を献身的に支える。時々ボソッと酷いことを言い、それが碧に刺さりまくる…」とある。
「あざといようぺ」を「恋愛の神様」北川悦吏子がどう調理するのか。「あて書き」と素材力の見せる可能性に大いに期待したい。