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2021/01/24

source : 文春文庫

genre : エンタメ, 読書, 社会, 働き方

年間2000億の回収部署へ

(クレジットカードの部署……ってあの、すごく大きな部署だよね)

 私が異動を言い渡された先は、コールセンター内最大の10万件の債権を取り扱う部署だった。異動する先の部署には社員が100名、オペレーターが300名在籍していた。今までいた「倉庫」と比べたらとんでもない規模だ。

 キャッシングの部署では1時間60本の電話をかけるノルマを課せられていたけれど、支払いが困難なお客さまとの交渉や、クレームの対応をしているとどうしても電話が長引いてしまう。1日でかけられる電話は多くて500本位だった。

 ところが異動先のクレジットカードの回収部署は、社員が直接お客さまに電話をするのにくわえ、パートやアルバイトで所属しているオペレーターに指示を出し、電話をかけてもらって回収をする。

 クレジットカードのコールセンターに所属しているオペレーター300名は、朝、昼、夜シフトで勤務し、1日約4万件の電話を発信することができる。回収数字は月約170億円、年間で2000億円。今までとはなにもかもケタが違う。

(男子校も、とうとう卒業かぁ……)

 感慨深かった。私はコワモテ男性スーツ集団の部署から脱出し、打って変わって所属しているオペレーターの9割が女性という、クレジットカードの部署へ異動した。

©榎本まみ

入社半年で上司!?

「ここに立ってて」

「はい?」

 クレジット部門に配属初日のことである。

 私はオペレーターが電話をしているブースの真ん前にポツンと立たされていた。

 コールセンターで働くスタッフというのは、まず電話をするオペレーターと、その名の通りオペレーターを補助する「サポート」と呼ばれるスタッフで構成されている。

 入社以来働いていた男子校で私はオペレーターとして働いていたけれど、新たに配属されたクレジットカードのコールセンターでは、オペレーターに加えてさらにこの「サポート」のお仕事をすることになった。

「オペレーターさんが対応しきれないお客さまに当たったら、手を上げて合図するから、そうしたら電話を代わってお客さまと交渉して」

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