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「ひとりひとりの動きについて、こうしているんじゃないかな、みたいな設定をしてモーションをつけてもらっています。実際に駅を観察すると、駅の時刻表見ている人、スマホ見ている人が圧倒的に多いです。ナビゲーター役の二葉ちゃんも隠れキャラとして駅にいます。運転に余裕ができたら探してみてください」

完全な再現よりも「本物っぽい」景色作り

 列車を走らせていると、景色の見え方もリアルになった。過去作では遠くのビルがパッと現れて大きくなる。しかし今作は遠くから景色が少しずつ見え始める。

「運転中は遠くに焦点を合わせているわけで、そこにポコポコとビルが出現するとやっぱり違和感はあるわけですね。萎えてしまう。いままではプレーヤーが無意識に脳内で補完しながら見てきたんですね。だけど、リアルに景色が見えてくれば余計な脳みそを使わなくて済むって言うか、運転に集中できて、気持ちよくプレイできている」

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 特徴的な建物は再現されている。ただし雑居ビルはなんとなく雰囲気が似たもので印象を近づけるようにしたという。ここに違和感があると、やはり脳に負担がかかる。運転の邪魔になる。だからこそ、完全な再現よりも「本物っぽい」景色作りにした。そこでこだわった要素は「生活感」だった。

「跨線橋や線路脇を車やトラックが走るとか、鳥や飛行船を飛ばすとか。動きのない町はゴーストタウンに見えてしまうので」

 たしかにプレイ中の景色に違和感がない。違和感を減らすことが、景色作りのたいへんな苦労だったようだ。

「風景の要素では、地味な要素ですが、走行音も全部録り直しています。ゲームセンター用は後ろにスピーカーがあるんですね。だけど家庭用ゲーム機ではフロントスピーカーがメインになるので全部作り直しました。この音作りはかなりこだわって、たとえば雪が降ると警笛の音がこもります。雪や湿った空気の吸音効果を再現しています」

 なるほど、ヘッドホンを使うと没入感がさらに高まりそうだ。

雪が降ると「音がこもるようになる」という © 2021 TAITO © SQEX JR東日本商品化許諾済

車両性能は過去作が基準

 運転席から見える景色は絶妙なバランスでリアリティを追求した。では車両のリアリティはどうか。

『電車でGO!! はしろう山手線』では、最新のE235系電車から、さかのぼってE231系、205系、103系電車を運転できる。200以上のミッションをクリアしていくと、山手線の近くの電車も運転できる。中央・総武線各駅停車のE231系500番台、京浜東北線のE233系1000番台、埼京線のE233系7000番台、上野東京ラインのE233系3000番台、成田エクスプレスのE259系などだ。電車の操作感は実際の性能データを反映しているのか。

最新の山手線「E235系」 © 2021 TAITO © SQEX JR東日本商品化許諾済

「一番重視しているのは、過去作の車両性能に近づけることでした。過去作と同じ形式の電車であれば、今回もほぼ同じ走行特性になっています」