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 このにぎりというのは、自分の体とバットとを一つに結ぶチョウツガイの役目をする。ゆるすぎたり、きつすぎたりすると、それぞれが別の働きをしてしまう。リストが強く、体のバネも申し分ないバッターでも、このチョウツガイがスムーズに働かないことには、宝の持ちぐされのようなもの。

 それどころか、大きな力をこのチョウツガイでムリにストップさせると、手首に負担がかかって、けんしょう炎をおこしたり、いろんな故障の原因ともなる。

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 タマのはなれる瞬間がよく見え、「スロー、スロー、クイック」のリズムもちゃんと正常なのに、体がなんだかこわばったようになったり、ふっと気が抜けたようになるのは、だいたいこのチョウツガイがうまく働いていない場合が多い。

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 ぼくの場合は、バットをにぎるさい、まず左手の小指にぐっと力を入れる。つぎにクスリ指。あとの3本はただ添えもので、このあと、右手の親指と人さし指でできる三角形でバットを包みこむというか、つまむというか、剣道の竹刀(しない)をにぎったときのようにする。

 ぼくは、あまりマメができない体質だったが、だからといって正しいグリップをしていた、というわけでもない。

 ちゃんとその人のバッティングに合ったグリップをしていても、バットを短めに持ったり、グリップエンドに引っかけて打ったりしていると、自然にマメができる。要するにタオルをしぼるように、強くもなく、弱くもなくにぎるのがコツ。ただし、体力のない人がグリップエンドいっぱいにバットを持って振りまわすのは、あまり感心できない。

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長嶋 茂雄

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2020年9月18日 発売