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即時性しかない音声SNSで「あ。この人そういう人だったんだ」

 そうかと思えば、ネット上で面白国会議員として著名な音喜多駿さんが、主張している政策はまともなのにイマイチ人気の伸びない国民民主党の玉木雄一郎さんとオンライン対談をしているカオス。

現在、iOSのみでアプリが提供されている

 誰をフォローするかにもよるんですが、Twitter以上に即時性がある、いや、即時性しかない、瞬間で消えてしまう恐怖の音声SNSが「Clubhouse」なのでした。うっかり知人友人をフォローすると、その人が参加しているルームに幸福の科学の人が混ざっていたり、イケダハヤト師をフォローしていたり、N国党の立候補者を応援するルームを立ち上げていたり、「あ。この人そういう人だったんだ」というのを真正面から可視化してしまうことに気づくのですよ。

昔のルノアールがそのまま切り出されてオンラインに

 そういう仕組みなのだから仕方がないとはいえ、とんでもなく公衆の面前なんですよ。ネットメディアの未来を占うルームで真面目に業界議論をしている横で、マルチ商法が営業しているという感じの。この強烈な「内輪」感なんだけど実際にはルームとしてフォロワーなどのリスナーに会話が全部公開されているのを見ると、赤坂見附のルノアールとか一昔前のヤクザ屋さんがいっぱいいたころの全日空ホテルのラウンジがそのまま切り出されてオンラインになりました、みたいな既視感を覚えます。

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 もちろん、他の人に見られないようなプライベートのルームも作れるわけですけど、それなら普通にいままで通りGoogle MeetsとかFacebook使えばいいわけでね。このClubhouse使うからには、自己顕示欲全開にして「俺たちの内輪の喋り、お前らも聴いてくれ」って状況になっているわけですよ。

©️iStock.com

 識者はみんな指摘していますが、日本人にはより強いかもしれない他の人から外される恐怖(村八分:FOMO "fear of missing out")をうまく突いていると思うんですよね。流行に乗り遅れるな。自分にあってるかどうか分からないけど、とりあえずベストセラーは買う。ゲームと言えばまずはファイナルファンタジーを遊ぶ。まさに赤信号をみんなで渡ったらダンプが突っ込んできてみんな死ぬ的な心理アプローチだと思うんですよね。