編集もないダラダラトークでは小島瑠璃子に勝てず
そして、そこには「ホスト」と「スピーカー」と「その友人」と「無関係だけど話を聴きたいオーディエンス」とに分かれ、メディアとして一種のヒエラルキーができる。さらに、一度聞き逃すとどこにもログは残されていない。Clubhouseの中にはテキストで書き込みを残す機能はなく、すべてはTwitterやInstagram、Facebookなど外部SNSでしか語られないので、必然的に他の大手SNSで「Clubhouseで起きていたこと」が回覧され、さらにClubhouseに人が集まろうとする。
よくできているんですが、本当に残念なのはこのSNSは本質的に暇人のためのメディアで、同時性を確保するために多くのリソースを割かなければいけません。単純に、編集もなくダラダラと誰かと誰かが話すトークをリアルタイムで聞いていなければなりません。最初は面白がってルームをどんどん立てて数百人とオーディエンスを集めていた人たちも、同じ時間帯に小島瑠璃子がルーム立ててトークを始めたら、その通知を見た人がごっそりと移動していって閑古鳥が鳴く。お前ら小島瑠璃子に勝てるとでも思ったのか。素人が野球しているところにプロがやってきて完全試合するようなもんです。
Clubhouse発のスタースピーカーが出てくれば
いまでこそ、金持ちやオンラインサロン、スタートアップ界隈を含めた「ネット界の人たちのルノアール」に過ぎませんが、今後、これらのアーリーアダプター(先駆者)が飽き始める前にClubhouse発のスタースピーカーが出てくれば、だんだんとそれ色に染まっていくことでしょう。
個人的なクライマックスは、以前ご一緒した投資先で集まった出資金を持ち逃げして消息不明とされていた某経営者が、ルームを立ててにこやかな声色で投資話をしていたので聴取してたところ、私に気づいてルームを閉じてしまったことでした。金返せ。
INFORMATION
ついにこの日が来てしまった……。文春オンラインの謎連載、特にタイトルがあるわけでもない山本一郎の痛快ビジネス記事が待望の単行本化!
その名も『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』。結婚し、出産に感動するのもつかの間、エクストリーム育児と父父母母介護の修羅を生き抜く著者が贈る、珠玉の特選記事集。どうかご期待ください。