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特別支援のプロになりたいという思い
しかし、障がいを持つ子どもの場合には体調が急変することも少なくない。簡単な手術だったはずが、合併症のため彼女は12月に亡くなり、高藤さんは約束を果たせなかった。彼は「自分は何もできなかった。自分が子どもの時、日々が続くのが当たり前だったけど、そうではない子どももいるんだ」と痛感し、「だからこそ、一日一日を大切にしなければいけない」と決心したのだ。
この日から彼の仕事への向き合い方が変わる。今、彼は「子どもと遊びながらも、一緒に考えている実感がある」と少し自信に満ちた顔で語る。「あまり早い時期には次の学校に異動したくない。特別支援のことをしっかり学んでプロになりたい」との決意も持ち始めた。一見、飄々とした人柄に見えるが、どのような場でも目標を見つけ努力できる彼の真骨頂を、筆者は彼のこの言葉に見た気がした。
実際に教員になって思うこと
赴任以来、彼は電車で片道2時間かけて始業1時間前に学校に到着するように通勤している。新型コロナウイルスで全国一斉休校になった時期も、彼の勤務校はしばらく開校していたが、高藤さんは「むしろ、学校に行けて嬉しい」と思った。帰宅時間はさほど遅くないと言いつつも、学校にいる実質の時間は8時間を大幅に超えている。私生活が心配になって聞いてみると、「趣味ややりたいことはあるので大丈夫です」とやんわりと答えた。「働き方改革」についても意見を聞いてみた。「新米だし、毎日が勉強だから遅くなるのは仕方がない」と言いながらも、「勤務時間外の仕事に残業代を付けてほしい」と語り、続けて「そうなると、いつまでも残業する人もでちゃうかな」とも付け加えた。