全寮制の三重県桜丘高校の高3カップルが、強豪の灘高校、開成高校を下し、伝統の「高校生クイズ選手権」でまさかの優勝を果たした。思わぬ伏兵の快挙にネットは騒然。敗れた開成男子に「男子校の友情ではカップルの愛は突破できない」とまで言わしめた木多祐太くんと中島彩(さやか)さんにお話を伺ってみました。なぜふたりは、トップエリートに勝てたのか? 

“クイズカップル”木多祐太くん(左)と中島彩さん(右)

「偏差値41の高校が偏差値78の開成に勝った!」

――受験勉強のさなかにすみません。このたびは高校生クイズ優勝、おめでとうございます!

ADVERTISEMENT

木多・中島 ありがとうございます!

――三重県知事がツイッターで大喜びしていたり、伊賀市長から市役所に招かれたり、ネットでは「偏差値41の高校が偏差値78の開成に勝った!」と話題になったり、なんか大変なことになりましたね。

木多 そうですね……、実家には手紙がたくさん届いているらしいんですけど、それもまだ読めていないので、あんまり優勝したって実感がないんですよ。

中島 高校生クイズが放送されるまでは、誰にも優勝したことを喋っちゃいけないんです、家族とか先生は別としても。その秘密にしてなきゃならない期間が辛かったですね。ニューヨークで優勝してから、2週間くらい、言いたくても言えない毎日で(笑)。

 

捨てる、賭ける、勝負に出る

――今年は灘高が途中敗退。決勝戦は10ポイントを争うなか、開成、筑波大附属、桜丘の3校が8ポイントで横並び、開成が脱け出したところを桜丘が追いついて……、みたいな近年まれにみる大接戦でしたよね。

木多 2校とも頭良くて強いのは分かってたんで、決勝では正直1ポイント取れるかもわからなかったんです。

中島 3ポイント取れたらいいかな、くらいだったよね。

木多 うん。でも、ホテルで他校の子たちと遊ぶじゃないですか。人狼とか寝起きドッキリごっことかやってたんですけど(笑)、みんなまじって力比べみたいにクイズで遊んでいたら、案外行けるかもって感じがしたんです。実際、決勝戦では僕が2問連続で正解できたり、中島さんがとれる問題も結構あったので、「あれ、もしかして……」という感じで。知識量では開成にも筑波大附属にも敵わないことはわかっていました。だから「これは分かんない」という問題はあっさり聞き捨てて、自分たちが取れる問題には多少賭けであっても早押しで勝負に出たのがよかったのかもしれないです。

中島 あとはダメもとな感じで決勝に臨んでいたから、よかったのかもしれませんね。繰り返しになりますけど、他の2校ともクイズのトップですから、本来は勝ちようがないんです。だから、私たちあんまり緊張してなかったんですよ。