――ちなみに、スタッフの間では『BLUE GIANT』の誰が人気なんですか?
石塚 玉田(大に感化されてドラムを始めた最初のトリオのメンバー)ですかね。自分たちを投影しやすいって言ってましたけど。大は練習ばっかりしてるし、演奏シーンでいっぱい線をひかされるので人気ないだろうなあ。
――あはは。大はド天才ですが、ほっぺたを赤くしてる時の表情なんかは等身大の青年ですよね。
石塚 そういう部分を「シュプリーム」ではほとんど出せなかったんです。急いていたのかな。まだ彼も知らないことだらけだし、アメリカには何が入っているかよく分からないお菓子なんかもたくさんあるので、いろいろトライしてみてほしいですね。些細だけど、大切なことなので。
人って意外といろんなことができるんじゃないか
――「エクスプローラー」で、どんなことでも無駄なことはないという意味で、「何がつながるか分からないな」と言っていますもんね。あのセリフ、今までやってきたことに無駄なことなんてないんだと勇気づけられた人も多いと思います。
石塚 一度行動をおこせば、人って意外といろんなことができるんじゃないかと思っていて、それも描きたい部分なんです。
実はNUMBER8さんが新人の頃、地方住みのあるマンガ家さんと連絡が取れなくなったらしくて。上司に「お前、行って探してこい」と言われて、とりあえず現地に行って聞き込みを始めたら、その日のうちに本人に辿りついたらしいです。
――会えるものなんですね。ドラマだなー。会えると言えば、「エクスプローラー」の第1話に雪祈(ピアニスト。大の最初のトリオのメンバー)もアメリカに居るとありました。大と雪祈は会えるんでしょうか?
石塚 「シュプリーム」には出てきませんが、ずっと大の心のどこかに雪祈のことはあって。元気で音楽に携わっているというのは最初に描いておこうと思いました。雪祈とは会うのかなー。会えるといいですけど、戦っていかないといけないので。
――会えるといいですよね。では最後に一言お願いします。
石塚 僕がマンガ家になったとき、最初に決めたのは「人間を描く」ということ。絵になっちゃったらダメ。絵は絵なんですけど、ここに居るのは人なんだというところが描けるよう、これからも頑張っていきたいと思います。