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ワクチンに対する、製薬会社勤務歴のある医師の本音

 撤回となった雑誌記事の中には、「医師1726人の本音『ワクチンすぐ接種』3割」という、あたかも医師の多くが接種をためっているかのようなタイトルの記事もあったが、「新型コロナウイルス感染症にたいするワクチンを、受けようと今は考えています」と話すのは、製薬会社勤務歴があり、創薬や治験にも詳しい奥真也医師だ。

「ワクチンが開発された10月頃は、アメリカやイギリスでも、限られたデータしかまだ出ておらず、ワクチンが本当にうまくいくのかについて慎重な見方をしていました。ワクチンや薬は、開発をしても、うまくいかないことのほうが圧倒的に多いのです。

 しかし、今回のmRNAワクチンは、実際治験がはじまってみると、重大な副反応が出て中止になることもなく、最近出てきた論文では、非常に良好な成績であり、『このワクチンは、大丈夫かもしれない』と思いました。今では、打つ方向に考えが傾いています」

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©️iStock.com

 奥医師によると、12月に、ファイザー/バイオンテックやモデルナが出したそれぞれの論文で、ワクチンを接種した人と、プラセボを接種した人で、接種後の日数が経過するに従って、発症率に差が出ていて(図4、ファイザー/バイオンテック)、それが打とうと判断した根拠になっているという。このデータでは、ワクチンとプラセボを接種後10日から、発症の差がはっきり現れてきている。

<図4>N Engl J Med 2020;383:2603-15. 日本語注釈は松村

「多くの方は、いったんおそれはじめると、データが出て、安全だということがわかってきてからも、おそれをひきずってしまう傾向があると思います。しかし、データがまだ出ていない段階では慎重でいる、データが出てからはデータをもとに判断することこそが、科学的な態度だと強調したいです」

 奥医師はさらに続ける。