電力行政と亀井静香
白川の盟友とされる亀井は、電力行政に詳しい。自ら精力的に動いてきた送電線の地中化構想が代表的な持論だ。
「とくに、平成9年度におきましては、計画的な事業の推進を図るため、治水事業五カ年計画を新たに策定するとともに、事業の効率的、効果的な実施を図りつつ、電線類の地中化など当面する政策課題に対応した住宅・社会資本整備を戦略的、重点的に推進していくことといたしております」
建設大臣当時の97年3月27日に開かれた参院建設委員会では、こう答弁している。亀井は電柱をなくし、景観のいい新たな街づくりをしようと力説した。
「具体的には、一、高規格幹線道路網や地域高規格道路の整備、空港、港湾等へのアクセスの強化など次世代の活発な経済・社会活動の展開のための交流基盤の整備、二、電線共同溝による電線類の地中化など情報ハイウエーの整備(中略)五、道路橋、堤防、住宅等の補強、土砂災害対策やのり面防災対策の推進、密集市街地の整備など安全で安心できる地域づくり・町づくりの推進に重点を置くことといたしております」
ヘリコプターで石原裕次郎の定宿へ
電力会社に幅を利かす盟友のおかげかどうか、順番は定かではないが、白川は東電との太いパイプを築きあげてきた。とりわけ東電首脳の一人と入魂とされ、存在感を増幅させてきた。
そんな政界の黒幕は、水谷建設の水谷功ともかなり懇ろだ。06年7月に摘発された水谷本人の脱税事件でも、その名が浮上した。白川の経営してきた「日安建設」などが家宅捜索されている。詳しくは後編で触れるが、脱税事件の背景には、原発プロジェクトにおける電力会社や政界の思惑が見え隠れし、そこに水谷と白川が登場する。
最後のフィクサー白川司郎の経営するその日安建設は、1993年に設立された。まさに水谷建設が原発事業に奔走していた時期にあたる。実は、前田建設や水谷建設が福井県内の発電所事業に乗り出していたまさにその最中、白川は水谷功と行動をともにし、しばしば目撃されている。
水谷功はその絶頂期、自家用のヘリコプターを所有していた。みずからのヘリで三重県から木曾の険しい山々を越え、しばしば日本海側の福井県まで飛んできたという。そこにしょっちゅう同乗していたのが白川だという。