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「忘れない」よりも冷静な検証を

竜田 そうですね。悩ましいのも、あとから責めることができないのも分かるんですよ。ただ、結果的にやりすぎたっていうのは、いくつかの局面でありましたよね。それに対して一個一個、「ここはこうしたほうが良かった」っていう話を、10 年経ったんだからそろそろ出してもいいんじゃないかなという気はするんです。10 年経った今も、関係者の方が生きていたりするとやりにくいところもあったりするので、場合によっては20 年目にやったほうがいいこともあるかもしれないし。例えば「この判断のせいでこの人は死んだ」ってことになっちゃうとすごいキツいので、難しさもあるとは思うんですけど。

※写真はイメージ ©️iStock.com

 

 ただ、避難地域の解除にしても、これだけ遅くなって、そのせいで町が荒廃して帰れなくなった人も少なくない現実もある。「ここはもう少し早く解除しても良かったんじゃないの」っていうのは、もうそろそろちゃんと検証すべきなんじゃないですか。

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細野 10 年経って見えてきた現実として、川内村は震災前の8割にまで人口が戻っているわけですよね。あれはやっぱり、遠藤雄幸村長の帰村宣言が早かったことが大きかったと思います。当時は大変でした。村長は帰村宣言会見のときには顔面蒼白でした。しかし、明らかに結果は出ていますよね。

竜田 逆に双葉町は出遅れて、結果として今一番遅くなっちゃってる。10 年というタイミングは良い機会なので、そろそろ「ここはもっと早くできたんじゃないか」「ここは逆に足りなかったんじゃないか」みたいな検証をしてほしい。なんかもう、「忘れない」とか感情的になって振り返るよりも、そういうところを冷静に、多少つらいことがあっても検証する。10 年はそういう節目にしてほしいなと私は思います。

福島県の浪江駅 ©️iStock.com

細野 10 年は、私も一つの大きな区切りだと思っています。そうした検証も含めて当時の記録を後世まで残す意味もあり、竜田さんも含め多くの方々との対談を企画させて頂きました。1mSvについては、検証が必要ですね。

 そして最後に、福島のこれからについてです。竜田さんは福島にものすごく詳しいですよね。