プレステ4の最後を飾った『サイバーパンク』
――というわけで昨年、2020年の「ベストゲーム」部門の第1位ですが……。
林 はい、第1位は年末に発売された『サイバーパンク2077』。いや、すごいですよ、『サイバーパンク』は。前に話したロックスター・ゲームスが2001年に発売した『Grand Theft Auto Ⅲ』以降、プレイヤーがオープンワールドでゲームの世界観に入り込みながらプレイするっていうスタイルがメインストリームになりましたけど、その最新型にして、現在のところの究極型なんじゃないですかね、『サイバーパンク』は。
舞台は「ナイトシティ」っていう猥雑な街なんですけど、そこを歩くだけで最高に楽しいんですよ。ポルノショップと食べ物屋さんと、あとは人体改造できるお店しかなくて(笑)、看板を見ると日本語だらけだったりして。
――『ブレードランナー』みたいな世界観ですかね?
林 そうですね。だからウィリアム・ギブスンだとかフィリップ・K・ディックとかのSFで僕たちがイメージしていた「これぞサイバーパンク!」という街が実際に目の前にあって、自由に歩き回れるんですから、そんなの最高に決まってるじゃないですか(笑)。
もちろんメインストーリーも存在するんですけど、それをほっといて歩き回るだけで楽しいし、とてもじゃないけど「ナイトシティ」の全貌を把握するのは不可能なんじゃないかな? それくらい膨大な箱庭世界が用意されてるんですよね。
――そのため……でもないと思うんですけど、発売後には大量のバグを指摘されましたよね。返金騒ぎも起こって、実際にPS Storeではダウンロード版の販売が中止になってますけど(2021年2月現在)。
林 それについて言うと、もちろんバグはホメられたものではないですし、僕自身、それを肯定するつもりもないんです。ただ、ここはデリケートな言い方になっちゃいますけど、バグを補って余りある魅力が『サイバーパンク』には、「ナイトシティ」にはある、ということですよね。
奇しくも2020年にプレステ5が発売されましたけど、それも象徴的だなあ、とは思っていて。だから2020年末に僕たちは、『サイバーパンク』によって、プレステ4のキャパシティがオーバードライブされる瞬間を見れたのかな、とも思うんですよ。「プレステ4の最後を華々しく飾ったタイトル」というか。そういう意味も含めて、『サイバーパンク』は2020年を象徴する1本だと思うんですよね。