文春オンライン
『あつ森』ではなく『サイバーパンク』がゲーム雑誌の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー2020」を受賞した理由

『あつ森』ではなく『サイバーパンク』がゲーム雑誌の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー2020」を受賞した理由

「ゲーム・オブ・ザ・イヤー2020 BEST&超クソゲー」#1

2021/02/22

「明智光秀はドMである」で一点突破した『THE 落武者』

――じゃあ、クソゲー部門にクレームが来る、というようなことは……?

 これも、いくつかはあって(苦笑)、夜中にとあるメーカーの広報の方から電話がかかってきて「読みました……残念です」みたいなことを言われたりとか。

――いやいや、それは(苦笑)。

ADVERTISEMENT

 でも、実際に記事を読んでいただけるとわかるんですけど、僕たちが毎年選んでるのは「クソゲー」ではなくて「超クソゲー」なんですよ。アタマに付いてる「超」というのがポイントで、これは単行本の『超クソゲー』でも同じなんですけど、僕たちは単に面白くない、出来の悪いゲームは取り上げないんです。それは、単純に気の毒なゲームですから(笑)。

 僕たちが取り上げる「超クソゲー」というのは「どこかしら突き抜けた魅力を持ったゲーム」のことなんです。「一点突破しているゲーム」というか、「この仕様、誰か止めなかったのかよ?」っていうような特殊な面白さを持ったゲーム(笑)。たとえば2007年に「超クソゲー」部門で第1位になった『THE 落武者』っていうゲームがあるんですけど。

『THE 落武者』

――タイトルからして、すごいですね。

 このゲームの主人公は明智光秀なんですけど、光秀が落武者狩りと戦いながら宿敵・豊臣秀吉の打倒を目指すんです。途中、敵から攻撃を受けると弓矢とか刀とか槍とかが身体中に突き刺さりまくるんですよ。それで全身ハリネズミみたいな状態でプレイをしていたら、いきなり「怒獲武(ドえむ)神」が降臨して敵をブン殴りまくれる、という(笑)。

――それは斬新ですね(笑)。

 公式設定では「怒獲武(ドえむ)システム」って名付けられてるんですけど、とにかく「明智光秀はドMである」っていう一点突破で成立してるゲームなんですよね(笑)。『THE 落武者』は「SIMPLE2000」っていうシリーズの1本なんで値段は2000円なんですけど、もう、2000円でこれだけ笑えたら確実に元が取れる。だから、毎年そういったゲームを積極的に評価しよう、というのが「超クソゲー」部門ですね。