『あつ森』は「希望」のゲームだった
――これも2020年を象徴するゲームだと思うんですけど、『あつまれ どうぶつの森』は「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」の中でどのように評価されましたか?
林 いや、ランキング決定座談会でも紛糾したんですよ、『あつ森』の評価って。僕個人でいうと、実は『あつ森』が「ベストゲーム」の第1位でもありましたから。2020年、いわゆるコアなゲーマーではない人たちまで巻き込んで『あつ森』が大ブレイクした、というのは特筆すべきことだったと思うんです。
ただ、そこがポイントでもあって、果たして新型コロナ禍という人類史に残るような特殊な状況がなかったとしたら、果たして僕たちは『あつ森』にあそこまで夢中になっただろうか? という話もあって。
――確かに『あつ森』を語る際、「ステイホーム」とは切っても切れないところがありますよね。
林 実は一番最初、2001年に(NITENDO)64で発売された『どうぶつの森』は、その年の「ベストゲーム」部門で第2位になってるんですよ。あの時点で『どうぶつの森』というゲームの魅力、本質的な面白さは完成してる。
それを2020年型にアップデイトした『あつ森』が面白いのは当たり前で、そこに誰もが予期だにしなかった新型コロナ禍による「ステイホーム」という特殊な状況が加わって、全世界的に大ブレイクを果たした。
でも、僕たちの提唱する「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」が「ゲームそれ自体の面白さを積極的に評価する」ものなのであれば『あつ森』の第1位は違うのではないか……というのがランキング決定座談会の結論ではあったんです。だから「限りなく第1位に近い選外」という意味で「次点」にしました。
――異論反論ある人も多そうですけどね。
林 いや、編集長の僕からして2020年の第1位は『あつ森』ですからね(苦笑)。ステイホームで外出もままならなかったとき、世界中の人たちの心に寄り添い、ある種の慰めになったのが『あつ森』だった。その事実は絶対に変わらないと思うんですよ。人によっては「たかがゲームじゃん」って言うかもしれないですけど、それは「希望」と名づけても構わないものだったんです、あのときの僕たちにとっては。
――それが、2020年の『あつ森』。
林 もちろん、いろんな意見はあって然るべきで、当然ながら「納得いかん!」という声もあるとは思うんですけど、雑誌『CONTINUE』としてはそう考えました、ということですよね。(#2に続く)