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「容姿なんて、魂がとりあえず入ってる箱です」鳥居みゆきが語る“女芸人”というレッテルの理不尽

「容姿なんて、魂がとりあえず入ってる箱です」鳥居みゆきが語る“女芸人”というレッテルの理不尽

鳥居みゆきさんインタビュー #2

2021/02/23
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 自分が思っていることを相手に伝えるにはどうすればいいのか……話し方講座、劇団を経て、その答えを「芸人」という職業に求めた鳥居みゆき。しかし彼女がどんなに自由な表現を追い続けても「女芸人」というカテゴライズが鳥居を縛った。

「時代錯誤もいいとこですよ」この特集内で、ここまで怒りをストレートに語った人もいない。鳥居みゆきは「女芸人」の何に苛立つのか。(全3回の2回目/#1を読む)

鳥居みゆきさん

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労働って、人を狂わせない唯一のものですからね

――鳥居さんはすごくサービス精神が旺盛なんじゃないでしょうか。

鳥居 そんなことないですよ。

――相手が求めていることの逆をやりたくなっちゃうって、相手の求めていることがわかるということだから、人の感情に追いかけられてしまいますよね。

鳥居 そうなんだろうな。

――テレビは良くも悪くも「求められたことをする」場所だと思うのですが、今は少しそこから自由になれたのでしょうか。

鳥居 最近YouTube始めたんですけど、今のフラットな私を、フラットだけど見る人が見たらちょっと変って思うかもしれない、そういう感じでやるのがあってもいいかなと思って。

 結局単独ライブがコロナの影響で2回延期になって、寂しくなっちゃったんですよ。「YouTubeやるのはすごく大変だよ」と言われたから、大変ならやろうって思ったのもある。大変なの好きなんですよ。

――追い込まれるのが好きなんですか?

鳥居 細かい作業が好きなんです。内職向き。でも昔ハンダづけの内職で何になるのかわからない基盤にハンダづけして1000個作ったら、1000個のうち10個もちゃんとしたのできなかったから、下手は下手なんだな。

――決められたことをやるのが嫌なのか。

鳥居 嫌なんだと思います。肉に棒を刺すバイトをしてた時は、みんな1人1つ肉を刺して次に流していくんですけど。私自分のところで2個刺して、次の人の手間を減らしてあげようと思ったんです。でもその人、やりがいがなくなっちゃったのかすぐやめて。人材が足りなくなって、結局自分が大変になりました。

 

――よかれと思ってやったことが、やりがいを奪ってしまった……。

鳥居 たぶん「私何してるんだろう」って、自問自答する時間ができてしまったんだと思う。労働って大事だなと思いますよ、ほんとに。労働って人を狂わせない唯一のものですからね、やっぱりね。

――人間暇だと、ちょっとおかしくなります。余計なことを考える。

鳥居 だから私もうめいっぱい何かしていたいんです。常に何かしてたい。