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「女枠」が「フリップ」「一言ネタ」と並列になっている

――女は文字で表現する。

鳥居 そう、そこは脚本で表せばいいだけであって。見た目だったらスパッツ穿いてよ、なんならズボンでいいじゃんっていう。そういう勘違いしてるやつがイラつくんですよ。私最近の『THE W』とかもあんまり興味なくて。

――なぜ興味を持てないのでしょうか。

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鳥居 前の『R-1』もそうですけど、なんか枠としてしか考えられてなかった気がするんですよ。男芸人の中のフリップ、漫談、コントとか一言ネタとかのジャンルの中に「女枠」という感じだったと思うんです。そういうの腹立つんですよ。女をひとつの枠として見てんじゃねぇよっていう。

――「フリップ」と「女」が並列になっている、なるほど。

鳥居 私のこと女としてみないでって思ったのが、男芸人の彼女ですね。芸人仲間でどっか行こうという時に男芸人の彼女が「今誰がいるの」「女芸人いるの?」ってすごいうるさい。「いやでも鳥居だよ」って言ったら「あっなら平気か」ってなるのもよくわからんけども。

 

――「女芸人は男芸人が好き」っていう思い込みをやめてよっていうのは、よく女芸人さんが言ってますよね。

鳥居 好きじゃねぇよっていう。仕事上のライバルとしてしか思ってないから。男だろうと女だろうと。ていうか人は、背景にすぎない。背景というか、書割みたいな。あまりなんとも思わないですね。

 私昔一言ネタをやった時期があって。その時 渋谷La.mama のネタ見せで、ネタを見てくれた作家さんに「だいたひかるの二番煎じじゃん」って言われたことがあって。だいたひかるさんとかアンラッキー後藤さんとかそこらへんの時代だったので。

 それで、あぁもうめんどくさって思って、そこからコントをやりだした。もう人とかぶることはやめようと思いましたね。めんどくせぇから。違うと言ってもその違いをあんまりわかってくれないじゃないですか。でも自分自身がその時期キャベツとレタスの違いがわからなかったので、傍から見たら私もこうなんだって。

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写真=榎本麻美/文藝春秋

女芸人の壁

西澤 千央

文藝春秋

2022年11月9日 発売

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