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姉宛の年賀状を庭に埋めていた…鳥居みゆきが語る「コンプレックスとの折り合いのつけ方」

姉宛の年賀状を庭に埋めていた…鳥居みゆきが語る「コンプレックスとの折り合いのつけ方」

鳥居みゆきさんインタビュー #3

2021/02/23
note

――老化ではなく新しくなっている。

鳥居 脱皮ですよ。日々脱皮してるんですよ。

――日々生まれ変わりながら、鳥居さんは今どんな気持ちで芸人をやっていますか。

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鳥居 今ね、まだ折り返し地点。給水所ぐらいかな。私、フルマラソンの時に給水所で間違ってポカリを体にかけちゃって。後でベットベト、ネチャネチャしてきて。

 

――(笑)。

鳥居 でもそんな感じ、今。首ベットベトになりながら今生きてますね。だけどそういう枷があるからこそ楽しいんだなみたいな感じもある。私不自由じゃないと自由になれないから。なので制限がないと、それを破った時の喜びもないじゃないですか。

――「何やってもいい」って発注されるのが私も一番辛くて(笑)。お題をもらえないと何もできない。

鳥居 私もそうですよ。「鳥居さんここで自由に」みたいな台本、こんな不自由なことないよっていう。ある程度制限がないとね、人って生きづらいですよ。それを破るかどうかだからね。

生きづらさを納得して楽しめるようになりましたね

――芸人になるきっかけになった「友だちを作る」は達成されたのでしょうか。

鳥居 この間ナイツの塙さんが「俺たち友だちだよ」って言ってくれたから、そうなのかもしれない。でもお互い大人になって確認し合わないじゃないですか。私確認し合ってないからひとりもいないのかもしれない。

――確認するのちょっと怖いですよね。

鳥居 学生時代って友だちいない人は異端じゃないですか。なので異端になったらダメなんだって思い込みすぎてたんだと思います。今の私で学校にいたら、友だちが欲しいってたぶん思わないと思うので。その時はその世界が全てじゃないですか、学校が。

――芸人になって広がりましたか、世界の範囲は。

鳥居 私がやるネタは友だちが増えないネタでした。でも友だちが欲しいというのは、人に認められたい、自分が存在してるっていう証が欲しいってことじゃないですか。だけどネタで認められたら、自分の存在を認められたということだから、友だちもういらないんですよ。芸人になって、そこはまわりくどいことしなくてよくなった。

 

――そう考えて、生きやすくなりましたか?

鳥居 生きづらいですよ。だけど生きづらさを納得して楽しめるようになりましたね。昔はすぐ「生きづらい」「もういない方がいいんだな」「死んだ方がいいんだな」ってなってたんですけど、最近ではそれこそ原動力なことに気付いて。その反動ですっごい暗いネタが書けたりするんですよ。

 ほんとに落ち込んだ時に「もうやめる、もうやめたい、死にたい」ってマネージャーさんにライン送ったら「そんなことより単独ライブどうします?」って返ってきて。

――(笑)。

鳥居 あっこういうことだなって。全てはそうだと思って。それですごい救われたことがありました。ほんと、自分だけでぐじゃぐじゃぐじゃぐじゃしてないで、それを違う風に出力できた方がいいじゃんって。だから死にたいってなった時こそパソコン開きます。あー書くかって。