「すごいことになったみたいに。恥ずかしいで、正直。『浮かれちゃってるやん、ABC』みたいになるよ」
局に入ってくるところまでカメラで追われ、千鳥・大悟は苦笑いしながらスタッフに言う。普段はABCが制作し、関西ローカルとして放送している『相席食堂』が、この度、ゴールデンタイム2時間の特番としてテレビ朝日系で全国ネットで放送された。TVer等の恩恵を受け、関西以外でも見ることができているこの番組だが、やはりリアルタイムで楽しめるのは格別だ。
『相席食堂』は、ゲストが日本各地を訪れ、食堂などで地元の人たちと「相席」をする街ブラVTRを千鳥が鑑賞する番組。VTR中、気になるところがあると「ちょっと待てぃ」ボタンを押しVTRを止め、2人でツッコんでいく。今回の特番では、スペシャルらしく昨年の『M-1グランプリ』ファイナリスト10組が勢揃いし、漫才に続きロケでもナンバー1を決めるという企画。各組のロケを見終わった後、千鳥の2人が、各100点満点で採点していく。『M-1』の煽りVTRでは芸人たちがマスクを取って舞台へ上がる瞬間がカッコよく収められていたが、『相席食堂』では、逆にロケに向かうためマスクをつける姿を映すというVTRが洒落ていた。
やはり今回、改めて光ったのは千鳥の視野の広さだ。たとえば錦鯉がロケ中、ずっと軽スベリを続けていると堪らずノブが「16スベリ」とイジる。けれど、それだけでは終わらない。「16スベリ中にひとつの愛が生まれてたの知ってた? スベリ倒してる奥で親子がチューしてた」と大悟が指摘するのだ。確かに店の奥の席で親子らしき2人が寄り添っているのが見える。
そんな千鳥の視野の広さが大きな笑いを生んだのが、オズワルドのVTRだ。「芸人になる」と誰にも言わずに上京した畠中が7年ぶりに地元・北海道函館に。漁師の父親と対面を果たす。そんないいシーンにすかさず「漁師仲間Cまでおる」と漁師仲間が立ち会っていることを嘆くノブ。状況の把握と画面に映る情報の読み取りが速い。息子に対し、本人が好きなことやってるんだったら親としては幸せ、いつか『家族に乾杯』に出たら最高だと朴訥と語る父親が長渕剛の「乾杯」を歌い出すとVTRを止める大悟。歌に対してツッコむのかと思いきや、「(漁師仲間)AとBとCはわかんねん。奥にお化けがおる」と指摘。「そんなわけないやん」と見返すと確かにふすまの奥の隙間にうっすらと人影が。「ひいじいちゃんが、ようがんばったなって出てきた」と爆笑し(実際にはおじいさんが覗いていたそう)、「畠中のご先祖」への得点でオズワルドが優勝。どんなシーンでも笑いの種を見逃さない千鳥の瞬発力と凄みを体感した。
『相席食堂 ゴールデンSP』
テレビ朝日系
https://www.asahi.co.jp/aisekishokudou/