“新参”だったプレイステーションとの運命の出会い
さらなる飛躍となったのがFF7。「映画とゲームの融合」を追求して、当時ゲーム業界の“王者”だった任天堂のゲーム機ではなく、データ容量の大きいCD-ROMが使える“新参”のゲーム機「プレイステーション(PS)」で出すことを選んで業界に衝撃を与えました。
1997年に発売されたFF7は、CD-ROM(最大650MB)3枚組みという膨大なデータ量を生かし、名作映画「ブレードランナー」を思わせるサイバーパンク的な世界を3DCGで演出。同業者すらも衝撃を受けるグラフィックにファンは狂喜しました。
見た目だけではありません。現実の社会問題だったエネルギー問題を織り込み、ヒロインの一人が志半ばで死ぬ衝撃の展開も、ファンを大きく惹きつけます。そのうえやりこみ度十分のゲームシステム……。スキはありませんでした。
結果、前作(FF6)を大きく上回る325万本を売ることとなり、PS本体の売れ行きもけん引したことから、「ソフトの力」でゲーム機を爆発的に売った歴史的作品となったのです。
順風満帆な矢先に直面した“巨大な壁”
ところが、“巨大な壁”に直面します。映画事業への挑戦が「落とし穴」になったのです。
巨額を投じて注目を集めたフルCG映画「ファイナルファンタジー」は、北米地域の興行収入が3000万ドル台と計画の半分にとどまり、日本での上映も2週間で打ち切られ、スクウェアは約139億円の特別損失を計上します。同社は、映画事業からの撤退を発表するなど、危機を迎えます。
そこでFFは方針転換を図ります。従来はわざわざ1作ごとにストーリーやゲームシステムをガラリと変えていましたが、既存作品の活用とコスト削減の観点からシリーズ続編の開発に着手したのです。
そして2003年にFF10の続編「FF10-2」を出すと、売り上げは国内だけで200万本を記録。FF7のその後の世界を描いた映像作品「アドベントチルドレン」も人気となりました。
そして2002年にはオンラインRPG「FF11」のサービスを開始します。
当時はオンラインゲームのビジネスが「時期尚早」と言われている状況。そんな中での“船出”でしたが、日米欧のゲームプレーヤーを同じサーバーに接続させることで、サーバーのピークタイムを均一にしてコストを削減。サービスは成功し「パッケージソフトを売って終わり」という考えが常識だったゲームビジネスで、長期の月額課金という収益モデルが生まれました。FF11は、間もなくサービスを開始して20年に届く“ロングセラー”になり、収益に大きな貢献をすることになったのです。