総額1000万円超え……祥子さんの実父・前夫からの送金
前回(第46回)、祥子さんが実父や前夫から93年6月から94年3月までの間に、合計約1141万円の送金を受けていたことを記した。このうち実父からは345万1810円、前夫からは796万5000円の送金があったのだが、ふたりの送金合計額は、月別に比較すると次のようになる。
〈93年6月 20万5600円
同年7月 92万210円
同年8月 91万円
同年9月 49万6000円
同年10月 140万円
同年11月 231万円
同年12月 239万円
94年1月 160万5000円
同年2月 47万円
同年3月 71万円〉
祥子さんの娘・莉緒ちゃんが“事故”で死亡したのは93年10月のこと。その直後から祥子さんが要求した送金額は急激に増え、93年11月から94年1月までの送金額はわずか3カ月間で約630万円にも及ぶ。
そのことについて、検察側は先の論告書で〈この時期、被告人両名が、莉緒の死亡を受けて、更なる逃亡の必要に備えていたことがうかがわれる〉と述べている。
金づるとしての利用価値が失われ、祥子さんは溺死
また、94年2月になると、祥子さんへの送金額は急激に減少し、同年3月に実父が71万円を送金してからは、実父及び前夫からの送金は途絶えていた。そうした状況を紐解いて、検察側は〈(松永らにとって)祥子の金づるとしての利用価値も失われつつあったことが認められる〉と締めくくる。
祥子さんは、同年3月31日に、松永と緒方とともに新たな隠れ家を探しに出かけた大分県別府市内で、海中に身を投げ溺死した。
なお、松永は祥子さんの死亡時の状況について、同弁護団の冒頭陳述要旨のなかで次のように主張する。
〈被告人松永は、平成6年(94年)2月27日ころ、被告人緒方、長男及び祥子と別府に行き、同年3月31日まで××(本文実名)というラブホテルに連泊した。祥子は、同月31日午後4時30分ころ、被告人緒方、長男と共に、別府市役所に転入手続をするために行った。その帰り、祥子は××(車名)を運転してホテル駐車場に戻った後、突然走り出して別府の海に飛び込んで自殺した。
(中略)被告人松永は、被告人緒方から祥子が逃げた旨の報告を聞き、ホテルの窓から警察の船やパトカー、救急車を見るなどしたことから、祥子が海に飛び込んで自殺したのであろうと判断し、祥子の××(前出・車名)を被告人松永が運転して被告人緒方、長男と小倉に戻った〉
小倉に戻ってきた松永は、その後マスコミに照会して祥子さんの“自殺”を確認したと説明している。(第48回に続く)