ファンにはおなじみの「どむぞうくん」(象をモチーフにしたロゴ)が店頭を彩ったほか、店内にはかつての期間限定メニューのポスターが展示されたことから、これが往年のファンの視線を強く意識したイベントであったのは明白。提供メニューは3種に絞られたが、その中に盛り込まれた「お好み焼きバーガー」は、90年代半ばに人気を博した商品であり、この日も真っ先に売り切れていたのが印象的だ。
現在、ドムドムを運営しているのは、2017年に事業を引き継いだ株式会社レンブラントホールディングス(神奈川県厚木市)の支援を受ける株式会社ドムドムフードサービス。広報担当の近藤彰氏は次のように語る。
「こうしたポップアップも含め、イベントへの出店は機会があれば積極的に行なっています。店舗数が限られてしまっている現在も、出店のご要望は各地から多くいただいていますので、我々としてはお客様の反応を測るいい機会と捉えています」
つまり、“ドムドムここにあり”と健在をアピールする意味だけでなく、今後の事業計画に生かすマーケティングの意味合いが大きいわけだ。実際、そうした取り組みの賜物か、ここ最近のドムドムは実に話題性豊かなのである。
バンズからハサミがはみ出す、「カニバーガー」の衝撃
ホテル事業などをメインに手掛けるレンブラントホールディングスの支援を受ける株式会社ドムドムフードサービスが、事業を承継するやいなや古参ファンに届けた朗報が、前述の「お好み焼きバーガー」の復活だった。
1996年に終売となった同商品は、その名の通りお好み焼きに目玉焼きとキャベツを合わせてサンドした、いかにも和製ハンバーガーチェーンらしい一品だ。ソースとバンズの絶妙な相性を記憶しているファンも決して少なくないに違いない。
さらに昨年12月にリリースされた「チーズタッカルビバーガー」や、今年1月にリリースされた「明太厚焼きたまごバーガー」など、既成概念に囚われない独特の商品展開で、ドムドムはじわじわと話題を集め続ける。
その特異な企画力を端的に示すのは、なんと言っても2019年秋に期間限定で登場した「丸ごと!!カニバーガー」だろう。
脱皮したての軟らかいカニ(ソフトシェルクラブ)を丸ごとサンドした、インパクト抜群のハンバーガーである。バンズから2つのハサミが覗くエキセントリックなルックスは、世間に大きな衝撃を与えた。