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「謝ればいいと思ってんだろ!」と言われない謝り方

 それははじめ、そんなに大きなクレームではなかった。

「お前、いい加減にしろ! 謝ればいいと思ってんだろ!」

「へっ!?」

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 けれど、お客さまは電話の途中でいきなり大爆発してしまい、このクレームはその後何度もお詫びの電話をかけなければならない大クレームに発展してしまった。そして、その元となったのは私の「謝罪」の仕方だった。

 実際にその時の電話の録音を聞いて驚いた。私は壊れたテープレコーダーのように一本調子でお詫びを繰り返していた。

(わ! 私、「申し訳ございません」しか言ってない!) 

©iStock.com

 こんな電話では、残念ながら相手に対する誠実さなんて微塵も感じられない。「謝ればいいと思っている」とお客さまが怒鳴るのもごもっともだ。でも、この“ひたすらお詫びの言葉をリフレインする”モードは、まだ督促に慣れないオペレーターがたびたびハマってしまうクレーム対応の罠なのだ。

「申し訳ございません」はもろ刃の剣

 お客さまからクレームの電話が入ってくると、苦情に不慣れなオペレーターの頭の中は、「ク、クレームだ!」と真っ白になってしまう。

 そして緊張してうまく受け答えができず、ついついお客さまの言葉の全てに「申し訳ございません」と答えてしまうのだ。結果、相手は謝ってばかりいるオペレーターの態度を不誠実だと感じ、さらに怒るという泥沼状態になる。

「N本さん、『申し訳ございません』はクレーム対応に必須の武器です。でも、もろ刃の剣なんですよ~」

 お詫びの言葉でお客さまを怒らせてばかりいる私を見かねて、同僚でクレーム対応専門チームに所属するM井さんがアドバイスをしにニコニコと近づいてきた。