「謝ればいいと思ってんだろ!」と言われない謝り方
それははじめ、そんなに大きなクレームではなかった。
「お前、いい加減にしろ! 謝ればいいと思ってんだろ!」
「へっ!?」
けれど、お客さまは電話の途中でいきなり大爆発してしまい、このクレームはその後何度もお詫びの電話をかけなければならない大クレームに発展してしまった。そして、その元となったのは私の「謝罪」の仕方だった。
実際にその時の電話の録音を聞いて驚いた。私は壊れたテープレコーダーのように一本調子でお詫びを繰り返していた。
(わ! 私、「申し訳ございません」しか言ってない!)
こんな電話では、残念ながら相手に対する誠実さなんて微塵も感じられない。「謝ればいいと思っている」とお客さまが怒鳴るのもごもっともだ。でも、この“ひたすらお詫びの言葉をリフレインする”モードは、まだ督促に慣れないオペレーターがたびたびハマってしまうクレーム対応の罠なのだ。
「申し訳ございません」はもろ刃の剣
お客さまからクレームの電話が入ってくると、苦情に不慣れなオペレーターの頭の中は、「ク、クレームだ!」と真っ白になってしまう。
そして緊張してうまく受け答えができず、ついついお客さまの言葉の全てに「申し訳ございません」と答えてしまうのだ。結果、相手は謝ってばかりいるオペレーターの態度を不誠実だと感じ、さらに怒るという泥沼状態になる。
「N本さん、『申し訳ございません』はクレーム対応に必須の武器です。でも、もろ刃の剣なんですよ~」
お詫びの言葉でお客さまを怒らせてばかりいる私を見かねて、同僚でクレーム対応専門チームに所属するM井さんがアドバイスをしにニコニコと近づいてきた。