謝ってほしくて怒っているわけではない
「『申し訳ございません』を繰り返してる電話って、聞いていてくどいんです。謝る時のコツは、『具体的に』謝ることです」
ぐ、具体的!? ポカンとしている私に、M井さんはこんな説明をしてくれた。
「お客さまがこちらの態度に不満を持っていたらその気持ちに対して、商品の不具合を言ってきたらそのお手間に対して、お客さまが怒っている内容を具体的に前につけてから、『申し訳ございません』と言うんです」
つまり、M井さん式クレーム処理法は、このような感じになるそうなのだ。
「カードが店で使えなくて大変だったよ!」
「お店で恥ずかしい思いをさせてしまい、申し訳ございません!」
「さっきのオペレーターの態度が気に入らない! クビにしろ!」
「先ほどの者がお客さまに不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません!」
このように「具体的な言葉」+「謝罪」を繰り返すことで、「相手の気持ちをわかっている」と示すことができるという。
「いいですかN本さん、クレームを言ってくださるお客さまは、謝ってほしいと思ってるだけじゃなくて、自分の気持ちをわかってほしいから電話をかけてくるんですよ」
なるほど、確かにひたすら「申し訳ございません」だけを繰り返してしまうと、早く電話を終わらせたいという態度が透けて見え、うわべだけで謝っているように聞こえる。相手の気持ちをわかっていると相手に示すためには、ただ謝るのではなく具体的に謝ることが有効なのだった。
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