「人見知りで話しベタで気弱」を自認する新卒女性が入社し、配属されたのは信販会社の督促部署! 誰からも望まれない電話をかけ続ける環境は日本一ストレスフルな職場といっても過言ではなかった。多重債務者や支払困難顧客たちの想像を絶する言動の数々とは一体どんなものだったのだろう。
現在もコールセンターで働く榎本まみ氏が著した『督促OL 修行日記』から一部を抜粋し、かつての激闘の日々を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
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クレームには付箋モードで反撃
かかってきた電話を取ったらいきなりクレームで、間髪いれずお客さまから怒鳴られることがコールセンターでは度々ある。
オペレーターは怒鳴られたショックですっかり固まってしまうが、そこで立ち直ってなんとか相手の名前や電話番号を聞き出さなければならない。が、怒鳴られたショックで、相手を特定するためにいつも聞いている質問の言葉が出てこないことがある。すると、お客さまの怒りはさらにヒートアップして、またしても怒鳴られる、という悪循環に陥る。
このように、お客さまからクレームを受けて、とっさに言うべき言葉が出てこない時のためには、あらかじめ言うべき言葉を決めておくことが有効だ。
ある時私がオペレーターブースを見回っていると、一人のオペレーターさんがパソコン周りにべたべたと付箋を貼りつけていた。
そこに貼ってあったのは「お電話ありがとうございます」、「わたくし○○と申しますが、××さまのお宅でいらっしゃいますか?」といったコールセンターでよく使われているフレーズだった。
「U野さん、これなんですか?」
私は気になってオペレーターさんに声をかけた。すると付箋を貼っていたオペレーターさんが少し恥ずかしそうに教えてくれた。