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金丸信逮捕で揺れる建設業界 1兆5000億の関空工事で暗躍した“天皇”の正体とは

『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』より #12

2021/03/08

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 政治, 経済, 読書

水谷建設と並び称される政治的な建設業者

 この平島とともに大きくなっていったサブコン業者がある。それが東急建設元顧問、石田の発言にある「宮本組」だ。その社名を聞いてピンとくる向きもあるだろう。本社が姫路にある中堅ゼネコンである。09年以降に摘発された一連の小沢一郎の政治資金規正法違反事件で、東京地検の家宅捜索を受け、評判になった。

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 水谷建設などと同じく、「小沢ダム」と呼ばれる岩手県の「胆沢ダム」工事を受注している。宮本組は胆沢ダムのサブコンのなかで、水谷建設に次ぐ受注額を誇った。総工費2440億円の大型ダムの主要工事の一つ「洪水吐き打設工事」について、元請けが西松建設、一次下請けが宮本組となっていた。西松建設と宮本組は、前田建設と水谷建設のような蜜月関係だといえばわかりいいかもしれない。互いに恥部を握り合い、成長してきたといえる。これまであまりクローズアップされてこなかったが、水谷建設と並び称される政治的な会社だ。

「東京地検では、09年暮れから春先にかけ、特捜部の検事を神戸地検に出張させ、宮本組を集中捜査してきました」

 東京地検の関係者がそう話す。その言葉のとおり、ひところは地検の捜査対象のなかでも、最も要注意な業者の一つとされた。

平島栄と宮本組とのつながり

 水谷功が北陸のダム建設工事で前田建設の創業者である前田又兵衛に認められたように、建設業界では、経営者や重役同士の個人的な関係から会社の取引が発生するケースが多い。もともと宮本組は、大林組の下請け業者だった。それが平島の移籍に伴い、西松建設の下請けになるのである。胆沢ダムのような大工事で、東北における西松建設の仕事を請け負うようになったのは、平島との縁があったからにほかならない。談合担当だった大手ゼネコンの元役員が話す。

「宮本組はかつて平島のカバン代わりと呼ばれたほど、彼に尽くした会社でした。平島さんが若いころ、神戸支店に勤務していた時代からの付き合いです。もともと大林とは縁が薄かったけど、平島さんが姫路に本社がある宮本組を取り立てた。宮本組を急成長させた人でもあります。だからこそ、双方の絆が強かったのです」