昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/03/03

 なお、このアニハは北関東一帯で頻発している家畜窃盗事件の犯人グループの拠点であるとみなされ、昨年10月26日に群馬県警による大捕物を受けて「群馬の兄貴」こと39歳のレ・ティ・トゥン容疑者らが逮捕されている。

 ただ、今月に至るまで、兄貴に対しては入管難民法違反から道交法違反、略取監禁容疑とさまざまな容疑での再逮捕が繰り返されているものの、肝心の家畜窃盗事件の真相は明らかにならないままだ。群馬県警を挙げた大捕物は、大山鳴動して兄貴一人が貧乏クジを引くという腰砕けの展開となっている。

兄貴ハウス住人。彼らのSNSの個人ページを見ると、クリスマスや仲間の誕生日にはパーティーをおこなったりしており、意外と華やかだ。

「同じ空間で寝食や家計をひとつにしており、一見するとみんな仲がいいのに、他の人間が何をやっている何者なのかは誰もよくわかっていない」という、日本人の感覚では非常にわかりづらい人間関係が構築されていることが、本件に限らず警察のボドイ捜査が迷走しがちな一因になっているように感じられる。

(2)豚解体風呂 埼玉県上里町

 2020年10月から11月にかけて逮捕された、元技能実習生のベトナム人不法滞在者による、住居内の浴室での豚解体事件。私がさっそく現場に行ってみると、逮捕を免れたボドイが3~4人、まだ同じ部屋で暮らしていた(詳しくは2020年11月18日掲載の記事を参照)。

豚を解体した浴室(左)と、残っている仲間が寝泊まりしている部屋(右)。衛生状態はかなり悪く、ハエやゴキブリが大量に発生していた。

 1人の話によれば、ある夏の夜、同居人の誰かが購入したらしい成獣の豚1頭の死体が家に運び込まれ、浴室で解体がはじまった。しかし、例によって同居人であっても他人の行動に関心がないので放っておいたところ、翌朝には食肉になっていたそうだ。

 ボドイたちは警察に対しては、解体された豚肉を「自分たちで食べた」と供述しているが、実際はネット経由で他に売っていた。特に2020年夏ごろはコロナ禍によって不法滞在者の働き口が激減しており、手っ取り早く現金を確保するためになりふり構わない振る舞いに出ていたようだ。

(3)豚解体風呂別館 群馬県太田市

 2020年10~11月の「群馬の兄貴」逮捕前後のころ、群馬・埼玉両県警は家畜窃盗や果物窃盗に非常に強い関心を持っており、ボドイたちのSNS上に怪しげな投稿をおこなっている人物を中心にあちこちで摘発をおこなっていた。