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ヤクザは若いときから、つま先立ちを続けるようなもの

 前出の関西地方に拠点を持つ指定暴力団の幹部が語る。

「ヤクザは定期的な決まった収入がある訳では全くない。シノギを自分で続けるしかない。若い時から、いつもつま先立ちしているようで、つらいこと。若手のころは特にそうだ。どこでかかとを落とすかだ。

 シノギでカタギの人に会うにしても、どのような評価をされるか分からない。こちらが話す言葉や内容だけでなく、服装、持ち物も重要。『なかなかな人だな』と評価されるかもしれないし、『大したことないな』と見限られてしまうかもしれない。だからいつも緊張状態でいるようなものだ」

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(写真はイメージ)©iStock.com

 暴力団の経済活動の実態について、長年にわたり暴力団犯罪捜査に従事してきたベテラン刑事は、「『ヤクザのファン』という一般の事業家は少なくない」と指摘する。

「ヤクザの社会はどのようなものなのか知りたい」

「一般社会とは違うヤクザの社会とは、どのようなものなのか知りたいという好奇心からヤクザと接触があった際に断らずに、スポンサーとなってしまう人もいる」

 前出の関西地方に拠点を持つ指定暴力団の幹部も、「初対面のカタギの人に会う際には、『こういう組織に所属しています』と伝える。多くの人に敬遠されるが、中にはこちらに関心を持って付き合いを続けてくれる人もいる」と明かす。

 こうした付き合いの延長で、一般の企業や個人から暴力団側へ何かしらの利益の供与があると、暴排条例では悪質な場合には企業名や個人名が公表される規定となっている。東京都の暴排条例では双方が逮捕される罰則の規定もある。

家宅捜索を終え、山口組総本部を出る大阪府警の捜査員ら(2017年、神戸市灘区) ©時事通信社

 暴力団など反社会的勢力との関与が明らかになれば事業活動の継続は困難となるが、実態は不明な点が多く、水面下での警察と暴力団の駆け引きは各地で続いているとみられる。