歌と踊りより、演技やバラエティ?
歌と踊りよりも、演技やバラエティでの実力で評価が決まりがちなジャニーズにおける“テレビ班”と“舞台班”。今では線引きが曖昧になり死語になりつつある分類ですが、かつては同じジャニーズタレントでも、2つのグループが明確に分かれていた時代がありました。
ものすごく雑な言い方をすると、テレビ班は文字通りテレビに出演する人たちで、メジャー・陽・華やか路線を担い、CDを出し、テレビや映画、雑誌グラビアで活躍するジャニ。舞台に出る際は、原則として主演オンリー。
舞台班は逆に“マイナー・陰・職人路線”を担当し、テレビにはたまにバックダンサーとして出るくらい。CDデビューへの道は険しく、舞台でしか会えないジャニです。舞台でも主演は少なく、テレビ班が主演の舞台にサポート役で出ることが多い人たち。
スターのバック経験が長くなると、忠実なサポーターとしての技量はバンバン磨かれますが、どんどん“黒子っぽさ”“(王子というよりも)腹心っぽさ”が増していき、スターとしての華は開きづらくなります。
ゆえに、舞台班のジャニはテレビ班のジャニに遠慮している雰囲気があったり、どことなく影が見えたり……ということもありました。
余談ですが、テレビ班と舞台班の関係は、ファンどうしの関係性にも影響を及ぼし、「テレビ班のファンの方が、舞台班ファンより偉い(?)」という感覚もファンの中にはありました。「同じ社宅に住んでいる部下の妻より、部長の奥様の方がエライ」といったノリで、舞台班のファンはテレビ班のファンに、「いつも○○くんにはお世話になってます……!」などと半分冗談で話しかけることもありました。
しかし最近では、CDデビューにわだかまりを残してアイドル活動をするよりも、歌と踊りからは離れて完全に“役者”にシフトする人も出てきました。生田斗真さん、風間俊介さんらは早々と役者道に絞ったことで輝きを増しましたし、ダンスのエキスパートに特化した屋良朝幸さんのような人もいます。
さらには、小説家として吉川英治新人賞に輝き、直木賞候補にもなった加藤シゲアキさん(NEWS)、気象予報士の資格を持つ阿部亮平さん(Snow Man)、宅地建物取引士の有資格者・川島如恵留さん(Travis Japan)ら、インテリ系の人材も豊富です。歌唱力以外の武器を持つ個性豊かなタレントを増やすことは、「メインボーカルが抜けたらグループが路頭に迷う」といったリスクを減らすことにもつながります。
テレビ班、舞台班といった棲み分けもほぼなくなり、CDデビューさえも“一人前”と認められる必須条件ではなくなったのです。