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行政の手が回らないことを自分たちがカバー

「今困っていること、必要な物はないですか?」

「食料などの物資は、1週間前よりは集まって来ているんですが……一番困ってるのは洗濯なんです。この公民館には洗濯機がなくて」

「わかりました。すぐ手配してみます」

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 二つ返事で名取市の拠点にいる仲間に連絡した。来る途中、公民館の丘を下った低地にある川で、洗濯をしているらしい人の背中が目に入った。名取の物資拠点にいる仲間に連絡すると、運よく洗濯機を譲ってくれる人がすぐに見つかり、次回の訪問時に運ぶことになった。

(「BOND & JUSTICE」提供)

 まだ震災から2週間あまり。避難所から市町村の役場にお願いしても、行政も手が回らず、できることとできないことがある。そのカバーを民間人である自分たちがする。被災地を巡っていると、「こんな簡単なことなのに、どうして支援の手が届かないのか?」と、もどかしさを感じる瞬間が多々あるけど、「行政批判をするより前に、自分たちにできることをやっていこう」というのがBOND & JUSTICE の基本方針になった。

「顔が怪しい」と言われ……自分たちは印象が良いとは言えない

 とある日、気仙沼市役所に出向いて他の避難所の状況を教えてもらいに行っていたDJ MAMBOW さんと鬼ヤンマさんが戻ってきた。2人ともなぜかカンカンで、チームのみんなへ怒りを捲し立てる。

「信じられるかよ? 担当者に『他の避難所の状況はどうなってますか?』って聞いたら、『教えられません』って断られたんだけど」

「しかもその理由がよぉ、『顔が怪しいので』だぞ? ふざけてんのかよ」

 本気でキレてる2人が可笑しくて、他のメンバーはみんな腹を抱えて爆笑。自分もつい噴き出してしまった。

ヒップホップ人脈で集まったボンジャス (「BOND & JUSTICE」提供)

「まあまあ落ち着いて。トイレで鏡見てきな(笑)」

「どっから見ても怪しいベ(笑)」

 ヒップホップ出身の自分たちは、一般的には印象が良いとは言えないルックスをしている。いや、どっからどう見ても品行方正には見えないことはわかっている。東北が震災で大変なことになり、いても立ってもいられず、自分の仕事も放り出して支援活動に来てるけど、熱さだけで突っ走ってしまうこともしばしば。