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「怖くなるから…」スマホの地震速報を鳴らない設定にしている福島の中高生たち

被災地の「こども食堂」は10年間でどう変わったのか

2021/03/11
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 2021年2月13日、福島県沖を震源とする地震があった。最大震度は相馬市や新地町、国見町で震度6強を記録した。この地震で、10年前の東日本大震災を思い起こした人も多い。震度5強を記録した白河市、JR新白河駅の近くには「まかないこども食堂 たべまな」がある。非営利の任意団体「KAKECOMI」が運営している。

 代表の鴻巣麻里香さんは「長い揺れを感じました。ガラスが割れたりしました。運営しているシェルターも復旧しなければなりませんでした。でも、高校生以上の子どもたちが手伝いをしてくれました」と話す。

JR新白河駅付近にある「たべまな」

「『どうせ、怖くなるなら』とスマホを鳴らないようにしています」

「このときの地震は、フラッシュバックのトリガーになりました。大人も子どもも、地震速報の音が怖いという人がいます。そのため、私もスマホの警報音を鳴らない設定にしています。そういう人は福島では多いのではないでしょうか。あのとき幼稚園や小学生だった子どもたちは、いま中高生ですが、『どうせ、怖くなるなら』とスマホを鳴らないようにしています」

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 福島県の震災被害は、津波被害が多かった浜通りと、原発災害のあった地域というイメージだ。白河市は中通りで、栃木県境の県最南端。原発からも約80~100キロも離れているため、被害がないように思われるが、土砂災害が発生して13人が亡くなっている。また、原発災害により避難をしてきた人もおり、東日本大震災の被害と無縁ではない。ただ、地震そのものよりも、警報音からくる恐怖心がある。

「幼稚園でどんな対応をしてくれたのかを覚えている人もいる一方で、その時の記憶はないという人もいます。きっと、子どもたちの中では、地震は避難訓練をしていることもあり、“了解可能”なことだと思うんですが、原発事故は“了解不能”だったのではないでしょうか。記憶をしないことで、自己防衛をしているのかもしれません」

 県南地域では、高校を卒業すると、地域から離れていく人が多く、20代が多いわけではない。特に20代前半は、進学や就職によって減少する。