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妻と別れさせ、生活に干渉

 松永は新会社の設立準備を行っているように見せかけつつ、由紀夫さんに智子さんと別れるよう唆し続けた。その結果、由紀夫さんは7月下旬に「上二十町マンション」を単身で出て、「江南町マンション」80×号室で暮らすようになった。

 8月6日になると、松永は由紀夫さんを使って、それまでいた「東篠崎マンション」70×号室の上階にあたる90×号室を、別人名義で賃借契約し、そちらに緒方と長男とともに移り住む。

 同月、由紀夫さんが智子さんと別れたことで、松永は由紀夫さんの生活への干渉の度合いを強めていく。まず松永は、由紀夫さんに対して、娘の清美さんの養育は、保母の資格を有する緒方に任せたほうがいいと告げた。その言葉を受けて、10月になると由紀夫さんは、清美さんを通っていた小学校から連れ出すかたちで、智子さんから引き離し、「江南町マンション」80×号室において、親子2人で暮らすようになる(※ここまでの流れは検察側の主張に準拠したものだが、内妻・智子さんの記憶では、8月上旬に由紀夫さんと清美さんが一緒に出ていったとある)。

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※写真はイメージ ©️iStock.com

清美さんの養育費名目で毎月16万円を徴収

 さらに10月20日には、松永に命じられるまま、由紀夫さんは自分の名義で北九州市小倉北区の「片野マンション」(仮名)30×号室を借りている。なお、その際の保証人は由紀夫さんの姉である橋田由美さん(仮名)だったが、後に借主と保証人が入れ替えられたため、以降は契約書上、由美さんが借主となった。

 松永と緒方は長男を連れて、その「片野マンション」に居住。2カ月前から住んでいた「東篠崎マンション」90×号室は、借りたままにした。そのうえで、「片野マンション」に清美さんを一緒に住まわせ、由紀夫さんからは、養育費名目で毎月16万円を徴収するようになったのである。

 松永は競馬予想会社がうまくいかず、依然として不動産会社に勤めている由紀夫さんを、連日「片野マンション」に呼び寄せ、明け方頃まで一緒に飲酒を続けさせた。そこでは彼の生活状況や勤務状況などを更に細かく聞き出している。

※写真はイメージ ©️iStock.com

 松永弁護団による冒頭陳述では、その際の酒量を明かしていた。

〈由紀夫は、甲女(清美さん)を被告人松永らに託した以降も、「江南町マンション」に住んだままであったが、ほぼ毎晩のように「片野マンション」を訪れ、午後9時ころから翌日午前3、4時ころまで、被告人松永、被告人緒方とお互いに楽しく酒盛りをし、3人でビール大瓶20本に焼酎5合、日本酒5合くらいを飲んでいた〉