「コロナだから残念だった」とは思わせたくない
例えばこの4月からは、子どもたちの写真を送るとそれがオリジナルのアルバムになって届くという通販サービス『入学おめでとう!! 限定メモリアルメッセージえほん』も開始するという。
「読者から送っていただいた写真と文言を使って、その子を主役に『小学一年生』の表紙をオマージュしたオリジナルアルバムが作れるんです。その唯一無二のアルバムを、申し込みをいただいた方に発送する予定です」
そして、ここにもやはり子どもたちを軸に置いた思いがある。
「今の世の中って、小学生にはすごくつらい世界だと思うんです。入学式もないし、本来やれるはずのことができない。でも、だからこそ親御さんも『コロナだから残念だったね』とは子どもたちに思わせたくない。そういう時に、小学生にとって一番大事な1年生の入学というイベントを、普通とは違うけれども何とか形にしたい。そういうことって大人はみんな思っていると思うんですよね。それを形にした企画です。それが結果的に親御さんだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんにも喜んでもらえればありがたいとは思います」
ほかにも、人気アーティストの「YOASOBI」を生んだサイト「monogatary.com」とコラボして、子どもたちのイラストをテーマに絵本と結びつけるといった読者参加型企画も行っているという。
雑誌そのもののコンセプトは原点に回帰する反面、アプリやSNSの活用など、手法としての新しさは積極的に取り入れていく――。そんなところにも好調の要因が見て取れた。
「これまでやってきた『付録』はすごく大きな財産」
では今後の児童学習誌については、いったいどんな未来図を描いているのだろうか? 長竹編集長はこんな話を例に答えてくれた。
「このコロナ禍の中で思ったのが、ウチがこれまでやってきた『付録』の文化はすごく大きな財産なんだなということ。いま子ども向けの雑誌の売上が上がっているというのは、子どもたちや親御さんが『手に取れる価値』みたいなものを感じてくれたんじゃないかと思うんです。実際に触って、組み立てて、論理的思考を培える付録というのはすごく本質的な価値があるんだなと感じました」