八丈島から「フェリー」か「ヘリコプター」のみの移動手段
ただし、簡単には行けませんでした。東京本土から青ヶ島への移動手段は、まず八丈島へ行き、そこからフェリーかヘリコプターのみですが、地理的、気象的な条件からフェリーの就航率は50~60%で、天気が良くても風が強ければ欠航になります。ヘリに至っては定員9名で、島民の移動も兼ねるため、予約を取るだけでも至難の業です。もちろんフェリーと同様に、こちらも天候次第でキャンセルになります。
私たち旅の一行は、羽田から飛行機で八丈島まで飛んだ後、空港から港へ移動してフェリーを待ちました。前日も前々日も欠航でしたし、当日は小雨で風もあったので、フェリーを出すのは難しそうでした。予備日はなく、欠航になれば帰りのヘリ予約も自動的に取り消され、計画している青ヶ島取材の全行程がキャンセルとなってしまいます。待っている間はハラハラし通しでしたが、なんとか無事に出港できました。
タヒチ島へ飛行機で初めて降り立った時と、ベニスのサンタ・ルチア駅から水上バスに乗ってサン・マルコ広場に向かった時を除けば、目的地へのアプローチで、こんなにワクワクと興奮したことは、私の人生の中でありません。
フェリーは穏やかな海をひたすら進み、出港から3時間ほど経った後、雨降りの靄がかった視界の先に、そびえ立つ絶壁が見えてきました。海面から100メートル、ほぼ垂直に切り立った崖が島を囲んでいます。島の内部はその崖に隠れていました。
フェリーは船着き場の近くまで近づけたとしても、波が荒ければ停泊できないことがあるそうです。委員会の関係者から聞いた話によると、彼らが数カ月前に来た時は、下船することができず、八丈島へ引き返したとのこと。それを聞いて、また心配になりましたが、私たちは無事に上陸できました。