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「ミスチルやBUK-TIK、TUBEとかも試聴会に来ていて、写真も撮らせてくれました。バンドのサインは基本、全員が書いてくれましたね。これはアイドルも同じですが、デビュー前後の新人さんに断られることはほとんど無かったです。

 ミュージシャンと一番会えたのはニッポン放送前。サザンオールスターズの桑田佳祐、井上陽水、長渕剛も全部あそこだった。屋内に一般公開スタジオがあったFM東京も穴場で、ユニコーンや電気グルーヴ、B’zに会えた。

 ラジオ日本やFM群馬もビル内にレコーディングスタジオがあって出待ちがしやすく、オフコースや男闘呼組が来てました。他だとやっぱり歌番組で、よく出待ちをしていた『ミュージックステーション』ではX JAPANにも会えましたね」

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島崎和歌子。撮影月/1989年5月、撮影場所/東京FM。今でもバラエティタレントとして活躍する彼女も当時はバリバリのアイドル。 

80年代アイドル黄金時代

 80年に松田聖子や田原俊彦がデビューしており、82年には中森明菜、小泉今日子、早見優、松本伊代、堀ちえみ、シブがき隊らが続いた。80年代前半の芸能界は、空前のアイドル黄金時代だった。

「中森明菜も、デビュー曲『スローモーション』の頃はまだイベントも満員じゃなかった。当時のイベントって歌が終わった後、レコードを買ってくれたファンの方に握手会があって、サインを配ったりするんですが、僕たちは絶対に最初は並ばなかった。

 そこで配られるサインって、実はマネージャーが書いてたりしましたからね(笑)。用意したサインが無くなると、まだもらってない人に目の前で書いてくれるから、間違いなく本物が手に入るんです」

さとう珠緒。撮影月/1989年6月、撮影場所/日比谷。今流行のあざとい系女子のはしりとも言えるさとう珠緒。

 オーディション番組だった『スター誕生!』も撮影OKだったため、頻繁に通っており、デビュー前の段階で撮影に行くことも多かった。

「小泉今日子なんかもデビュー前から見ていましたけど、銀座の山野楽器でミカン箱の上に立ってキャンペーンをしてましたからね。デビュー前後のアイドルはみんなそんな感じで、山野楽器やサンシャイン池袋の噴水広場のイベントが多かった」

井上晴美。撮影月/1991年1月、撮影場所/新宿。セクシータレントとして活躍していたが、この頃はまだ表情にあどけなさも残っていた。

 そんな当時、すでに別格だったのが松田聖子だ。

「僕がカメコを始めた頃にはもうトップアイドルでしたからね。サンミュージックも厳しいわけじゃなかったんですが、聖子ちゃんだけはほとんどサインをしないことで有名でした。ただ、必ず握手はしてくれるんです。

 その辺は人それぞれで、サインはダメでも握手はOKだったり、写真も単体はダメでもツーショットならOKとか。工藤静香なんかはシングルジャケットにはサインするけど、色紙には書かなかった。

 そういえば、仲間内で『サインしない人』で有名だったのが渡辺美里さん。十数回チャレンジして1回もサインしてもらえなかった。まあ、一緒にいた女の子にはサインしていたので、正確には『男にサインしない人』でしたけど」