アイドルを追いかけ、生写真を撮りまくっていた「カメラ小僧」たち。一時は彼らが撮った写真を掲載する投稿系の雑誌が乱立するブームもあったほどだ。そんなかつてのカメラ小僧に、当時を振り返りながら懐かしの秘蔵ショットを公開してもらった。(前後編の前編/後編を読む)
(常田裕/清談社)
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80年代アイドル写真は撮り放題だった
80年代から2000年代にかけて盛り上がったのが、素人カメラマンたちによる投稿写真のブーム。「カメラ小僧」「カメコ」と呼ばれた彼らは、若手アイドルを中心に有名人たちの姿を追いかけ、生写真を撮影していた。
そんなカメラ小僧の1人だったのが斎藤誠さん(仮名)。16歳から趣味でカメコ活動を始め、30代前半まで有名人の写真を撮りまくっていた。
「きっかけは元ピンク・レディーのケイちゃんこと増田恵子さん。と言っても特別ファンだったわけではなく、秋葉原の石丸電気に買い物に行ったとき、たまたまサイン会をやっていたんです。解散してから初のソロシングル『すずめ』のキャンペーンでした。
それからハマりだして、いろんなアイドルのイベントに参加するようになったんです。本当は写真よりサインを貰うのが目的だったんですけど、サインを貰うためには本人に会うわけだし、じゃあ記念に1枚ぐらいという感じで写真も撮るようになりました」
最初のうちはレコードを購入して参加するイベントなどに行っていたが、学生の身では資金にも限界があった。そのうちにレコードを買わなくてもサインが貰えるやり方があることに気がついた。
「80年代は歌番組がたくさんあって、あちこちで公開番組をやっていました。生放送も多かったので、放送している時間にその会場に行けば必ず出演者に会うことができるし、サインも写真もほぼ貰えたんです。それに気づいてからは一気にのめり込みました」
都内ではほぼ毎日のようにどこかでイベントや公開番組が開かれていた。『歌のトップテン』『レッツゴーヤング』といった歌番組はもとより、年末には賞イベントも多く開催され、紅白歌合戦をはじめほとんどの会場で写真撮影はOKという時代だった。