ドコモの「ahamo」、ソフトバンクの「LINEMO」、そしてauの「povo」。今月にはいよいよ、携帯大手3社による格安プランがスタートする。大手の回線を月額約3000円で使える新プランは、今後のモバイル業界のスタンダードになっていくだろう。

 国際比較をもとに、日本における「携帯電話料金の高止まり」が指摘されるようになって久しい。数年前より「ケータイ値下げ」は国策となっており、「MVNO」(格安スマホ)の制度化や「楽天モバイル」の新規参入など試行錯誤が繰り返され、紆余曲折の末にこの格安プランにたどり着いた格好だ。

 ところで携帯料金といえば、忘れられない思い出が「パケ死」である。アラサー世代以上の読者には、この「パケ死」に怯えた記憶がある方も少なくないのではないだろうか。

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はじまりは1999年

 ドコモの「iモード」がサービスを開始したのは1999年で、当時は広末涼子がイメージキャラクターだった。以後数年をかけて「携帯電話によるネット接続」が一般化していく。日本は世界に先駆けて、“ユビキタス社会”(生活のあらゆるところでIT環境にアクセスできる社会)への一歩を踏み出したわけである(“ユビキタス社会”そのものが死語になったきらいもあるが)。

1999年、NTTドコモのイメージCM会見に登場した女優の広末涼子

 iモードと同内容のサービスを、auは「EZweb」、J-PHONEは「J-スカイ」と称して展開し、いずれも公式コンテンツを充実させていた。

 公式のトップページから月額制のサービスに登録することで、ケータイから最新の天気予報や、プロ野球の結果をリアルタイムに知ることができた。スマホ時代の今からすれば「何をそれしき」と思ってしまうが、当時は画期的なことであった。

 サービス開始当時(iモード/MOVA)の料金体系では、1パケットあたりの課金額は0.3円とされた。この「パケット」とは、通信にあたりデータを細かく分割したもので、1パケットあたり128バイト(全角64字)の容量を持つ。このパケット料金は、ダイヤルアップ時代の固定回線と比べても高額である。