しかし2001年頃から、「魔法のiらんど」のような、ケータイ向けのコミュニケーションサイトが普及を始めた。いわゆる「出会い系サイト」が流行ったのも同時期だ。
だからこの頃になると、出会いを求めてケータイサイトにハマっていた男子が続々「パケ死」を遂げていた。ある友人に至っては、お年玉を全額はたいて何万円分もの「ドコモカード」(延滞料金の払込にも使えるプリペイドカード)を買う羽目に。堪え性がない人間からどんどんと“罠”にひっかかっていったのである。
ガラケー時代の常識といえば……
当時のケータイユーザーの間では、頻繁に「読み込み中止」ボタンを押すのが常識となっていた。文字が表示された時点で「読み込み中止」することで画像のダウンロードをカットし、パケット通信料を抑えようとしたのである。
しかしそういう小技を駆使したところで、通学中や休み時間のたびにネットを見ていたら、どんどん料金がかさんでいく。手持ち無沙汰をまぎらわせたいものの、恋人がいなければ、そんなに頻繁にメールする相手はいない。
そんな時代の中高生たちは、お気に入りの曲を着メロとして入力したり(当時の端末では、音符を並べて着メロデータを「自作」できた)、メールの「下書き」機能で物語を書いたりと、オフラインでもできる「ケータイ遊び」で時間を潰していた。SNS全盛の今日から思うと、なんとも慎ましやかな娯楽である。
カメラ付き携帯が増えて「写メール」も流行ったが、こちらも金食い虫で、1通受け取るごとに10円以上のパケット料金がかかる。くだらない写真を撮って送ると怒られたものだ。
「パケ・ホーダイ」登場で死語に
以前取り上げた「ダイヤルアップ接続の高額請求」とは違って、「パケ死」はすぐさま社会問題になった。携帯会社からの請求書に悩まされる家庭があまりにも多かったためだろう。
パソコンのネットで失敗した経験がある筆者の場合、パケット通信にも相当警戒していたのだが、結局「パケ死」を遂げてしまった。
というのも、2003年にボーダフォンが始めたサービス「ハッピーパケット」では、パケット料金が最大で8割引になった。「これでケータイでもネットができる」と喜び、すぐさま契約したのだ。
しかし夜中にケータイでチャットをしたり、(服を着ていない)女性の画像が集まる掲示板を見たりしていたところ、割引後の金額でも2万円をオーバーしてしまった。全然「ハッピー」なんかじゃない、イヤな思い出である。