1ページ目から読む
2/4ページ目

 相場から考えるとこれはかなり高い価格で、私としても予想外です。電話番号を交換し、前金で代金の一部をもらうと伝えたら、こちらが金額をいう前に200万円振り込まれたのです。沖縄での仕事を終えたあと、九州の別府で受け渡しをすることになり、その場で残りの200万円を受け取る予定でした。

 これほど高値をつけてくれたため、サービスのつもりで弾をいつもより多くつけ、部下に運ばせました。ほどなくして私も事務所荒らしのメンバー7~8人とともに沖縄に向かいました。

(写真はイメージ。本文とは関係ありません)©️iStock.com

ホテルのロビーで警察に取り囲まれた

 結果として、私は沖縄サミットの警備を甘く見ていました。沖縄のホテルに着くと、ロビーで警察に取り囲まれました。そのホテルは全室に警察関係者が宿泊していたのです。

ADVERTISEMENT

「予約の住所も名前も架空だな」

 と警察は言いました。

 しかし、私たちの犯行が露呈したわけではないようです。私が「だからなんだ」と返すと、「沖縄サミットで素性のわからない者が集まってきているので警戒している」と言います。とにかく、彼らは私たちを怪しんでいるのは確かでした。

 結局、沖縄から帰されることになりました。警察が航空券を購入するというのです。

 ここで問題は、東京に戻ると伝えた場合、警視庁に確認が入って私の素性がバレてしまうことです。「大分から来た」とでたらめを言いました。警察は本当にチケットを買ってくれました。

汪楠氏 ©️藤中一平

問題は手元に残った「拳銃」をどうするか

 事務所荒らしの道具や偽造免許証など、仕事道具はかなりの量だったため、それを大分に郵送し、私たちも大分に飛びました。

 トラブルはそれからも続きました。

 拳銃を売る約束をしていたサラリーマンが取引を拒否したのです。電話口で「お金はどうするのだ」と尋ねました。私としては「すでに振り込まれた200万円は返さないぞ」という意味の発言でした。輸送に人を使い、実際に経費がかかっていたためです。しかし彼は「残りもきちんと払う」と言い、本当に200万円振り込んできました。

 問題は手元に残った拳銃でした。再び東京に運ぶのは危険です。よって海に捨てることにしました。